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定林寺と宮堂遺跡(河合町川合) 老朽化する小さな寺 大切に守る地域の人

定林寺を管理する中嶋さん。訪問希望者がいると中嶋さんが寺を開けて案内する

 河合町で最古の仏像が残る「定林寺」を訪ねた。県道5号線の西穴闇の交差点を東へ入り、それらしき方向に歩いていく。それでもいっこうに寺らしき建物が見 当たらなかったので、ちょうど近くで犬の散歩をしていた人(中川勝さん)に声をかけると、定林寺の管理をしている中嶋清一(76)さんの家まで案内してく れることになった。中川さんは廣瀬神社の世話人のようなこともしていて、同神社の話をいろいろと聞かせてくれた。


 中嶋さんの家に着くと、すぐに案内してもらうことになり、3人で定林寺に向かう。現在の定林寺は、廣瀬神社の西側にあるが、同神社に伝わる「和州広瀬郡広 瀬大明神之絵図」という古絵図には、聖徳太子が建てた大伽藍(がらん)の寺院として、今の宮堂遺跡の位置に描かれている。同遺跡からは、古瓦がわずかなが ら出土していたり、礎石のようなものがあったという話も伝わっているそうだ。

 

河合町最古級の仏像が並ぶ定林寺の本堂。建物自体は江戸期のものなので町の文化財指定は受けていない

 5分ほど歩いて定林寺に着いた。前の道からは廣瀬神社に掛かる橋が見える。同寺は普段閉まっていて、訪問希望の人がいると今日のように中嶋さんに連絡が入る。それ以外にも月2回、前管理者の命日に合わせて線香をあげ、換気もしているそうだ。


 門から中に入ると、たくさんの実をつけた銀杏の木が見えた。その前を通り、本堂へ。中は暗く、奥には古そうな仏像がたくさん並んでいる。一番古いのが平安 時代前期に作られた木造彩色の「地蔵菩薩立像」。近くで見るととても優しい表情をしている。何年もここに通う中嶋さんも個人的に一番好きな仏像で、「座っ て見ていると、時々ニコッと笑ってるように見える」と嬉しそうに話してくれた。

 

 それから、過去に定林寺があったと伝えられる宮堂遺跡や、その近くにある城山古墳や大塚山古墳にも案内してもらった。

 

過去に定林寺があったと伝えられる宮堂遺跡

 定林寺は檀家もいない小さな寺で、建物自体は指定文化財に指定されておらず、「維持管理をしていくのはなかなか大変」と中嶋さんが言うように、一部老朽化 も目立った。ただ、中嶋さんや中川さんのような地域の人たちが大切に守り続けてきた小さくて無名な寺や遺跡には、その人たちの歴史も一緒に詰まっているよ うな気がして、見た目以上に大きくて、貴重なものに思えた。(花)

アクセスマップ

地図

定林寺

河合町川合

※このページの内容は2008年11月14日現在のものです。

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