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漢方養生で日々健康~体質を知るともっと元気になれる~vol.18「むくみ」にお困りの方へ

 漢方理論をもとに女性の悩みに応えてきた一陽館薬局のかしたに陽子さんに、健康を保つ秘訣を聞く連載企画。今回は病気にともなう症状や、治療を要する「むくみ」ではなく、日常的な「むくみ」について、漢方的な考え方を利用して考えるお話です。

 

 

むくみは生活習慣や環境にも関係


 マスクの跡がくっきりつく、指輪が抜けない、靴下のゴムが食い込む、顔や目がぼってり腫れぼったい、夕方に向かって靴のサイズがきつくなる、もしかして太ったのかも……など、日々の生活の中で「むくみ」を意識することがあります。重だるさや疲労感から動くことがおっくうになったり、見た目やサイズ感がストレスになったりすると、やり過ごすわけにもいきませんね。

 

 「むくみ」は、細胞の中に含まれる水分と、細胞の外で血液に含まれる水分や、細胞と細胞の間を満たしている水分のバランスが崩れて、細胞と細胞の間に水がたまり増加して起こります。

 

 細胞に栄養を送ったり、老廃物を除去する役割を担う水分は、通常、細胞や血管の中を行き来して体内の水分のバランスを保っているはずです。ところが、生活習慣や環境も関係し、また女性に特有の要因もあって、水分のバランスが崩れることがあります。

 

 

要因は循環と食事の問題

 「むくみ」の要因は大きく循環の問題と食事の問題があげられます。

 

①血流が悪い:座りっぱなし、冷え、運動不足など

 

 デスクワークや立ち仕事など、長時間同じ姿勢でいると循環が悪くなり、また重力の影響もあり血管から流出した水分で足元がむくみやすくなります。心臓へ血液を送りもどす働きを担うふくらはぎの筋力アップがむくみ解消のポイントです。

 

血行を良くするセルフケア

 ⇒ホットタオル、マッサージ、ストレッチ、湯船でしっかり温まるなど

 

②食習慣の偏り:水分、塩分、アルコールなどのとり過ぎ

 

 水分自体のとり過ぎはもちろん、塩分の過剰摂取は体内の塩分濃度を一定に保つため水分をため込みます。また、アルコール摂取により拡張した血管から染み出た水分も要因となることがあります。規則正しいバランスのとれた食事が予防に役立ちます。

 

むくみ解消に効果的な食習慣

 ⇒加工食品や外食など塩分のとり過ぎに注意しましょう。利尿作用があり、塩分の排泄を助けるウリ科の野菜(すいか、きゅうり、冬瓜など)、カリウムを含む食材(あずき、バナナ、アボカド、ほうれん草など)、海藻類などもおすすめです。

 

 ほかにも、女性の場合は生理前や妊娠などホルモンバランスの影響や、病気の治療のために服用している薬の副作用による場合もあります。また、日常生活における睡眠不足、運動不足、ストレスなど、さまざまな理由で起こります。

 

 

冷たい飲み物控えて温かい食材の活用を

 漢方の考え方では、むくみは「水(すい)」の巡りが滞り、排出がうまくいかない状態として「水滞(すいたい)」と言われます。水分代謝が悪く、体の中に水分が停滞して余剰になっているのです。
 体質判断のサインとしては、舌がぼってりして圧痕(あっこん=舌の外周に歯形のようなデコボコ)がみられたり、湿度の高い雨の日は体調を崩しやすい傾向があります。
 お腹が冷えやすいので、冷たい飲み物や甘いものを控え、スープや火を通した温かい食事を心がけましょう、
食材では、ショウガや根菜類、発酵食品などの体を温める性質を活用しましょう。

 

 また、婦人科系の代表的な処方として知られる「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」は、むくみやすいタイプで、冷えをともなう不調に効果的です。
 婦人科系以外にも、水分代謝を担う「脾(=胃腸)」や「腎(=腎臓)」などの弱りも要因となることもあり、むくみと同時に「脾」の不調として胃もたれや下痢、「腎」の不調として耳鳴りやめまいなども起こりやすいのも水滞の特徴です。

 

 むくみは循環や体力低下など、生活習慣により左右されるものでもありますから、寝不足やストレスなど疲れをため込まないよう心がけることも大切ですね。

※このページの内容は2023年6月16日現在のものです。

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