私のすてきな奈良の道
『道-私のすてきな道』
好評発売中!

 地上にはもともと道はなかった。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。
 この魯迅の『故郷』の中の言葉がエッセイ「私のすてきな道」のスタートでした・・・・・

わたしのすてきな奈良の道
 奈良に嫁いで20余年。家と西大寺駅を結ぶこの道を何度往復したことだろう。
 ここは菅原神社や喜光寺に通じるので観光客もよく見かける。買い物のために自転車で通り過ぎるだけだが、春は沈丁花の、秋はキンモクセイの香りがどこからともなく漂い、思わずあたりを見回してしまう。夕暮れに、グラデーションに彩られた空を背景にきらめく生駒山上の美しさは最高である。冬ならば、その上には寒風に吹き飛ばされそうな星がまたたく。遠くから帰ってきても、もうすぐ家だとホッとする瞬間だ。
 以前は、特急が停まる駅にしては広がる田畑に良き風情を感じたが、ここ数年で様子が一変したのが少し寂しい。
奈良市 木村由美子
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