私のすてきな奈良の道
『道-私のすてきな道』
好評発売中!

 地上にはもともと道はなかった。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。
 この魯迅の『故郷』の中の言葉がエッセイ「私のすてきな道」のスタートでした・・・・・

わたしのすてきな奈良の道
ふるさとの道―R169―
 「300m先、美吉野橋を左折です」と、わが家への道をナビが教えてくれている。分かりきっているけれど、うんとうなずく。
  吉野川に目をやると川原にはススキが白く揺れ、落ち鮎を狙う網が張られている。都会の風景はどんどん変わるというのに、この道沿いの景色はでんとして動かない。変わらないということは発展性がないとも言えるが、ふるさとを離れた者にはありがたい。帰ってきたという実感が湧き、自然と頬が緩む。
  平凡な道だけれど、自分の起点として可能性を示唆してくれる道でもあり、癒されに帰る道でもある。「目的地周辺です。音声案内を終了します」ナビが告げている。僕は子どもたちに「さあ、着いたよ」と声をかける。
伊勢市 北川裕士
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