夕陽の落ちる頃
新築の家が建っている。そのはずれに高円高校がある。周囲が一里ほどで都会の慌ただしさから遠ざかって静かで平和である。
道には自動車もなく道行く人もあまりいない。田んぼには水があって目をこらすとアメンボーがすいすいと水面をはっている。時折、つばめが水面すれすれに飛ぶ姿は、はっとするほど美しい。空き地には薄緑色の雑草が日に日に濃さを増してきている。その中に紫のアヤメが咲き乱れている。
辺りの景色は遠方に若草山、生駒山が望まれ、昨夜からの雨で清められ、空も道も生まれ変わったかのように目に映じた。校舎をまわりきると、今にも夕陽が入るなだらかな生駒山が遠く日本画のように見られた。 |
|
奈良市 磯部桂子
|
|
|
|