私のすてきな奈良の道
『道-私のすてきな道』
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 地上にはもともと道はなかった。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。
 この魯迅の『故郷』の中の言葉がエッセイ「私のすてきな道」のスタートでした・・・・・

わたしのすてきな奈良の道

山すそのあたりは、今…
 にわかに辺りが薄墨色になってきて、遠方の山すその辺りは、雨の様子になってきた。雨足がこちらに向かっているのがはっきり分かる。
  晩秋のころ、木々の葉が一面に落ち、赤や黄のにしきの模様がみずみずしく目に映る。木の葉が散り始めて数週間になって、散った後もまた美しい。枝や木の姿もまた新鮮で、美しいものと再発見して心が浮き立ってくるのを隠せない。
  四季亭からしばらくして高円山を眺めると、池や柳の木がたおやかである。池には水が少なく一面に藻が浮いている。水鳥が一列になり遊んでいる。左手前方には鹿の一群が一列におりて、湖面すれすれの辺りをゆっくり進んで行く。
  手の届くところまで長い枝と葉の木は、柳の木。今なおここだけは、万葉集から抜け出た世界である。

奈良市 磯部桂子
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