道からはじまるストーリー

第26話 「寒空の下で」

2006.05.26

 今年の三月。私は高校を卒業した。受験があるというのに、結構のんきに過ごした時間だったと思う。

 去年の十一月。
  最後の期末テストを終え、私と友人の4人で橿原神宮に行った。そもそも、昼までなのにお弁当を持ってきた子がいたから、じゃあ外で食べようかという話になった。

 駅の前にあるコンビにで弁当を買って、寒空の下、神宮内に。
「鳩見たい!」
そう言った友人がいたので、池の周りのベンチに腰を下ろした。期末テストから開放されて、私たちはどうでもいいような話を続けた。
「もうすぐセンター試験あるなぁ」
「何とかなるって」
池の中で泳ぐ鳥を見つめたり、休憩所の中にいる人を見たり。この時期、この時間に制服を着た女子高校生4人組は珍しかったのか、結構目立っていた。

「散歩しようか」
同じクラスの友人とぶらりと池の周りを歩いた。寒かったから、手をつないだ。
「こんな時期に何してるんやろな〜」
「あははっ」
息抜きだった。

 大学受験は高校受験と違うから、心配だった。不安だった。こうやっているだけで、すごく落ち着く。

 寒空の下、また笑った。帰りの石の道は、靴を白くさせた。もう吐く息も白かった。

 受験が終わるまで、私は何度か橿原神宮を訪れた。初詣に合格祈願。お守りをもらいに。幼いころから何度となく訪れていた場所なのに、迎えてくれる空気が違うように思った。
  橿原神宮西口駅からの道は、冬のせいだけでなく、ひんやりとしていた。皆が志望するところに行けるようにと祈った。

 結果としては残念なものだったけれど、またこんな風に集まって笑えたら。
  春、私は大学生になった。

大和高田市 宮本千晴 18歳

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 この魯迅の『故郷』の中の言葉がエッセイ「私のすてきな道」のスタートでした・・・・・

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