道からはじまるストーリー

第42話 「私を再び山歩きにいざなった道」

2006.09.22

 平群町鳴川に、千光寺という役の行者が開かれたお寺がある。そのお寺に通じる鳴川の集落や田畑の中、竹やぶの間を歩く山道は、今では休日になると、ハイカーが通る道だが、30年前は1人では歩けない、寂しい恐い山道だった。

 里の風景はもちろん、山々の緑の美しさがあり、桜や紅葉の季節には、あっとさけぶ風景がそこにある。

 子どもたちが幼かったころ、休日に千光寺まで車で遊びに行き、木々の静けさの中でトンボと戯れたりしながら時を過ごし、帰ることになった。

 最初から帰りを歩こうと思ったのかは記憶にないのだが、私は三男を乗せたベビーカーを押して、山道を歩いて帰ることにした。
  途中、長男と次男を乗せた車から2〜3回「お母さん」と声がした。手を大きく振った姿は今もすごく記憶に残っている。きっと主人は私たちが心配だったのだろう。車道からこちらの方が見えるところに車を止めてくれたんだなと思う。

 何も知らない三男はベビーカーの中で、悪路にゆられていた。私はその道を歩いて一時間ほどかかって家に帰ったのに、とても清々しくて家事が楽しくルンルンになった。

 そのとき、育児が終われば、また山歩きしたいと思った。

 月日が立ち、先日、その道を十人の友と一緒に、石切へと歩いてきた。
  あのときの楽しい気持ちがなかったら、今、私はたくさんのすてきな友と山歩きをしていることはなかっただろう。

 今でもその道は私に楽しさを与えてくれる道であり、私の好奇心をかきたてる原点の道であると感じている。

平群町 畑福子 57歳

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 地上にはもともと道はなかった。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。
 この魯迅の『故郷』の中の言葉がエッセイ「私のすてきな道」のスタートでした・・・・・

わたしのすてきな奈良の道





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