道からはじまるストーリー

第46話 「私と息子の大冒険」

2006.10.20

 またひとつ夢が叶った。
  それは1歳の息子と手をつないで近くのスーパーまで買い物に行くこと。スーパーまで大人の足ではたったの10分程度。それが、息子との道のりは、1時間を越える大冒険だった。

 家を出ると、まず目に入るマンホール。なんだか丸くて黒いその物体に、とってもおびえる息子。またぐことも越えることもできずに、とうとう、お母さんの足にしがみついて抱っこをせがんでしまっていた。

 次に続く坂道…。まだまだ足がおぼつかない息子。坂道を歩いて降りると、足が止まらなくて、ついに手をついてこけてしまった。でも泣かなかった。

 そして、やってきた鬼門、階段。両手両足を使って階段を1人で降りようと挑戦する息子。1段…2段…3段くらいでギブアップしたかな?でも、そのチャレンジ精神はあっぱれ。

 途中、空を見上げると白い雲がきれいな絵を描いていた。
途中、後ろを見るとなぜか黒い影がつきまとって離れなかった。そばにはきれいな花が咲き、さまざまな雑草が一生懸命生きていた。

 スーパーがあるのは、国道165号から分岐した中和幹線沿い。ここ数年で住宅が増え、それに伴い、お店も交通量も増えて一気ににぎやかになった道路である。

 今もなお、住宅や店舗が建設されているため、トラックやダンプカーといった大きな車もひっきりなしに通っている。大きな轟音を鳴らしながら横を駆け抜けるトラックに思わず、しりもちをついてしまい、ちょっと泣いてしまった。でも、まだ顔を流れる涙も乾かぬうちに、笑顔が戻り、一生懸命地面を踏みしめていた。そして、お母さんの手を握りしめていた。

 スーパーまでの大冒険。それは、息子と私の大冒険。私の手をとる息子の手。いや、息子の手をとる私。息子は私をスーパーまで連れて行ってくれたんだ。そう、感動の涙で視界が悪い母親を1歳の息子が引き連れていってくれた。

香芝市 吉田知奈 29歳

写真

前の記事へ 一覧表ページへ戻る 次の記事へ
『道-私のすてきな道』
好評発売中!

 地上にはもともと道はなかった。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。
 この魯迅の『故郷』の中の言葉がエッセイ「私のすてきな道」のスタートでした・・・・・

わたしのすてきな奈良の道





Web版リビングダイヤル 【教えます】 水彩画教室 丹水会 広告掲載案内


トップページ会社概要広告の掲載サーチ登録案内事業紹介ご利用の注意事項サイトマップお問合せ


当ホームページが提供する情報・画像を、権利者の許可なく複製、転用、販売することを固く禁じます。