国道169号線の東側に位置する明神山、その頂上からは、東に奈良盆地・西に大阪平野が一望できる、まさに大阪府と奈良県の府県境の山である。
その明神山の東側は、昭和50年代後半から宅地開発がすすみ、住宅が建ち並んでいる。そんな住宅の中を散歩していてこんな道標を見つけた。
「是より西 弐壱八〇米 明神山山頂」
開発が進み昔の面影は見られないものの、この住宅地は山だったんだよ…と明神山がここに住む人に語りかけているように思われた。
山を開発してできた団地は、そのほとんどが坂道である。勾配の急な坂が多いため、バスは坂の途中でギアを落として苦しそうに登っていく。
団地に小学校ができるまで、子どもたちは急な坂道を下りて、小学校へ通っていた。「往きはよいよい、帰りは怖い」。帰りは上り坂ばかり、その途中には心臓破りの階段、子どもたちはその階段を「魔の130階段」と呼んでいた急な階段がある。
子どもの帰りが遅いので途中まで迎えに行くと、階段の中段あたりで、田んぼのあぜ道で採った雑草で首飾りを作って遊んでいる様子を見て胸をなでおろしたものだ。そんな階段も今では私のウオーキングコースとなっている。
道標を辿りながら明神山の頂上を目指すと途中に赤い鳥居があり、急な坂を登りつめると、明神山へと突入していく。頂上まで約30分、絶好のハイキングコースであると共に、ウオーキングコースでもある。
道標を下の方向に向かうと、そこは国道169号線、その昔は、牛馬が闊歩していたそうだ。永年住んでおられる老人から「わしらの子どものころは、この道で遊んだもんだよ…でも、今は車が多くて、危なくて、道を横切ることも歩くことも大変な時代になってしまったよ」と伺った。
169号線は道路拡張工事の真っ只中にある。そして、今また、新しい道が顔をのぞかせ始めている。道標はいつまでも「ここが明神山だったんだよ」と語りつづけていくことだろう。
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