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私の住む団地をはずれると、東に向かって長い銀杏並木が続く。
五百メートルほどあるだろうか。この並木道を通り抜けて、息子たちはさらにその向こうにある幼稚園に通った。
園の方針で幼稚園バスは使わない。車での送り迎えもしないでほしいという。
当番の母親に引率されて、20人ほどの子どもたちは、30
分かけて長い道を歩いた。
朝はまだしも、1日遊んで疲れた幼い体に帰りの道は遠い。
春、まだ慣れないころ、銀杏並木に差しかかると「しんどい。もう歩くのいや」と、道に座り込む子がいた。
そんな子をなだめていると、向こうでも「おんぶして」としゃがみ込む子がいる。
夏、植えられて間もない銀杏は、まだ細く陽射しを遮ってくれる枝も葉も小さい。
子どもたちは顔を真っ赤にして歩いた。元気のいい男の子は上着を脱ぎ、上半身裸になって歩いた。
並木が終わるころ、団地が見え始める。「やったぁ。お家が見えたあ」と駆け出す子もいた。
秋は、黄金色に映える葉を仰ぎ、落ち葉を拾いながら、冬は木枯らしに震える枯れ枝の下を、首をすくめて歩いた。
あれから20余年。
銀杏は太くなり、枝は伸び、葉を茂らせた。幼稚園はバスでの送り迎えを始めた。
もう集団での通園風景は見られない。
社会人になったあの子たちは、もうこの道を歩かない。銀杏の落ち葉を舞い上がらせ、車で一気に走り抜ける。
今、この道を私は、老犬と一緒に散歩している。
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