道からはじまるストーリー

第68話 「将来へ続く道」

2007.04.13

 新大宮駅から北へ続く道を歩いていくと、24号線と交わる大きな交差点がある。その道を車で通るとき、いつも受験の帰り道を思い出す。

 その当時、私は中学3年生。2人の友人と試験を受けた帰り道だった。私は心の中で密かに「カケ」をしていた。「この交差点を止まることなく通れたら合格、信号が赤になってしまったら落ちる」と。

 思えば、その日は散々だった。朝は目覚まし時計が鳴らず、朝ご飯も食べず慌てて家を出た。友人との待ち合わせに間に合ったものの、電車に乗り改札で切符を渡そうとするとない!
  そう「落とした」のだ。

 駅長さんが泣きそうになっている私を見て「気にすることないよ。今日はテストやろ。がんばっておいでや」とやさしく言ってくれた。
  それで私は幾分救われた。それでも悪い気分を引きずっていたのだろうか。テストはまったく出来ず、このままでは本当にまずいと思った。
  昼食時間になり、気分転換をし、最後の科目に望みを託した。なんとか思うように仕上げることができた。

 やっと長い試験が終わって、3人でテストの出来具合を話しながら歩いていくと、例の交差点にたどりついた。
  ふと見ると、なんと信号は「青」から「黄」に変わってしまったのだ。

 友人2人はさっと走って渡ろうとした。私は足がすくんで動けない。心の「カケ」のせいで緊張してしまったのだ。そのとき1人の友人が、「なにしてんの。早く」と言って戻ってきて、私の手をしっかり握って走ってくれたのだ。

 おかげで私は赤になる前に、交差点を渡ることができた。そして私達3人は念願の高校に合格し、この道を3年間通うことができた。

 私はその友人に、今でも密かに感謝している。そしてやはり、いつもその道を通るとき、あの時受かっていなかったら、友人が手をひっぱってくれなかったら違う人生だったかも、と高校の先輩だった運転席の主人に話すのだった。

奈良市 林三千代 36歳

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 この魯迅の『故郷』の中の言葉がエッセイ「私のすてきな道」のスタートでした・・・・・

わたしのすてきな奈良の道




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