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1年前の春、出産予定日を間近に控え、夫と二人で石上神宮へ桜を見に出かけた。
布留の交差点を南に折れると、石上神宮へ向かう坂道に見事な桜並木が続く。しかし、桜はまだ満開には程遠く、つぼみがちらほらと見てとれる程度だった。
花が開くのが先か、子どもが産まれるのが先かと、笑いあった。
その数日後、真夜中に突然の破水。病院へ向かう車の中で、桜の開花よりもこの子が産まれる方が少し早かったねと話していた。
だが、思った以上の難産となり、娘が産まれたのはそれから3日後。緊急帝王切開による出産となった。
さて退院の日。ちょうど桜が見ごろを迎えたと聞き、少し回り道をして、石上神宮の桜を見に行くことにした。天気もよく、桜も満開である。
しかし、車を降りた途端に娘は号泣した。おなかすいた?オムツかな?肌寒い?まぶしい?まだまだ育児に不慣れな新米パパとママはおろおろしてしまって、桜を見るどころではなかった。
その後も育児に奮闘して、昨年の春の桜は覚えていない。
というわけで、今年こそはと、桜の開花を待って再び石上神宮前の桜並木へ。ちょうど天理桜まつりが開催されており、神宮外苑公園は花見客でにぎわっていた。
1年前は、目もまだしっかりと見えてなかった娘は、1年後の今日、桜を見て笑っている。思い返せばあっという間の1年だった。大きな病気やケガをすることもなく、元気に育ってくれている。桜の季節が訪れるたびに、あの時聞いた娘の産声を思い出すだろう。
夫が小さかったころは、まだ幹も細かったという桜の木々は、今では枝をいっぱいに伸ばし、見事に花を咲かせている。
桜のトンネルをくぐりながら、来年も、再来年も、その先もこうして家族で桜を見て笑っていられたらと思う。
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