道からはじまるストーリー

第77話 「市場へむかう道」

2007.06.22

  中央フリーウエイ
  右に見える競馬場 左はビール工場
  この道はまるで滑走路 夜空に続く

 思わずユーミンの歌を口ずさんでしまうほど快適なドライブ。今、私は郡山の中央卸売市場に向かって軽トラックを走らせている。旅行に出た主人に代わって、野菜を運んでいるのだ。

 高田バイパスから曲川を通り、橿原バイパス、そして京奈和自動車道へ。
  街のあかりが遠く近く光っている。高架道から見える景色は、まるでジェットコースターに乗っているようだ。

 ちょうど一年前、主人から新しい道ができたから一緒に市場へ行こうと誘われた。しぶしぶトラックに乗った私は、今までと違うなめらかな車の流れに驚いた。奈良県にもこんなに立派な道路ができたなんて、信じられない。

 時代は変わってきているんだなあと実感。
  私が専業農家へ嫁いで20年。農業を取り巻く環境もずいぶん変化してきた。

 すべて手作業だった野菜のアカ葉取りも、半自動、全自動の機械を使用するようになった。
  田畑でも、くわではなく、エンジンのついた小型耕運機を使って、土を寄せたり、割ったりするようになった。
  住宅地が増える中での農作業は、住民と共存していくために、音や匂いや時間帯まで気を遣うようになった。

 けれど農業の基本は野菜を育てること。心を込めて作った野菜を食べてくれる人たちがいると思うだけで、うれしくなってくる。そして、毎日の仕事にはりあいが出てくる。

 今日、私が市場へ持っていく野菜は、明日どこかのスーパーに並ぶ。どんな人が買っていくのだろう。どんな料理に使われるのだろう。

 考えている間に京阪奈道も終わりに近づく。
  さぁ、あとひと走り。安全運転でがんばろう。


葛城市 飯田善美 45歳

写真

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 地上にはもともと道はなかった。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。
 この魯迅の『故郷』の中の言葉がエッセイ「私のすてきな道」のスタートでした・・・・・

わたしのすてきな奈良の道




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