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香芝に嫁いだ娘に、「ねえ近くの飛鳥川、甘樫の丘、醍醐池もきれいよ」と孫2人誘って、「弁当は近くのスーパーで買っておくから」と花見に出かけた。
娘は3人目がお腹に入っていた。花は七分咲きだったが、寒かったこと。弁当をふるえながら食べてそそくさと我が家へ帰り、夕方、香芝へ帰っていった。
翌日、「お母さん孫2人あいにく風邪よ」
「熱出たの?」
「それほどでもないけど」
「医者代だそうか」
「いいわよ。それでなくても3人目で実家でお世話にならなくてはいけないもの」
どこの安産の神様がきいたのか、逆子で帝王切開と言われていたのが、パパが2人の子を寝かしつけている間に、「何やらギャーギャー泣き声してない」「ちょっと分からないので分娩室までみてくるわ」。
大変ご安産だったようで真っ赤な顔してギャーギャー泣いていた。ひと安心。
一年ごとに子どもたちは成長し、長男は1年生、次男は年長、三男は2歳になった。
娘が「お母さん、胃腸の調子がおかしいの。近くの病院で胃カメラ飲んだら30分も待たされて、旦那が呼ばれてるの」。
私たちも長男の目覚まし時計を買った電気店で、検査の結果を携帯電話で聞いた。
涙がとまらなかった。胃ガンだった。
3人の男の子に恵まれた6年の結婚生活。この子はあと何回、桜の花が見られるのだろうか。百貨店であつらえた訪問着も桜、20歳の時あつらえた振袖姿も桜に檜扇、桜の好きな子であった。
入院4回。衰えていく身体で、病院の13階から2人で「きれいね」と、大阪城公園の桜を眺めた。
「おかあさん私…。この病院で産まれたのよね。私を産んでくれてありがとう」
桜の訪問着は棺の中へ。
娘は千の風になり、今は葉桜だけど、また4月に会う約束しましょうね。
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