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所用で橿原まで行った帰り道だった。
私は夕闇迫る幹線道路を自宅へと車を走らせていた。上空には雲ひとつなく明日の晴天を空が約束しているようだった。
高田市内の手前で高架に差しかかった時、何とも表現しがたい美しい夕日が二上山の向こうに沈んでいく姿が見えた。二上山は雄岳と雌岳を有し、大阪と奈良にまたがって腰を下ろしている。ふもとには古寺として名をはせる当麻寺を抱える奈良県の代表的な山の1つだ。
今、その山の向こうに夕日が沈もうとしている。太陽は今日1日の仕事を終え、夕日に姿を変えて別れを告げようとしている。
二上山が出来た太古の昔から、太陽は休むことなくこの繰り返しを続けている。道路はゆっくりとした下りにさしかかる。夕日はまだ見えている。
夕日はなごり惜しそうにゆらゆらと沈んでいく。真っ赤な色が辺りの空に滲み出して、まるで夕日が泣いているようだ。
やがて夕日は糸を引くように山の稜線に姿を消していく。
時を同じくして私はハンドルを右へ切る。ほどなくして二上山は私の視界から遠ざかる…。
美しい夕日を目の当たりにして私はふっと思った。この夕日は決して大阪側からは見ることはできない。
奈良側から、しかもこの道のように限られた時間にしか見ることができない。奈良県内の道路整備はまだまだ不十分で、あちこちで幹線道路の延伸が続く。そんな公共事業がもたらした偶然の産物だろう。
仕事の失敗から重たい気分で橿原に出向いた私だったが、一日の終わりになんだか得をした気分に浸ることができた。
いつかまた、夕暮れ時に主人と一緒にドライブして見るのもいいかもしれない。私は夜の帳が降りる香芝市内の自宅へさらに車を走らせた
もう夕日の姿はどこにもない…。
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