道からはじまるストーリー

第111話 「青い道」

2008.03.07

 小学校が高台にあり、坂の上に黄色い帽子が見えると、「お帰りなさい」と青色パトロールカーのスピーカーが鳴る。
  それを合図のようにそれぞれの持ち場につく。これが我々の学童下校補導の日程である。

 信号のない交差点で「お帰り」「ただいま」の繰り返しが終わり、1年生の集団と共に歩道のない道を一列に並んで進む。20mくらいで「すがる川」の橋を渡り、桜並木の歩道に入る。

 この橋を渡ると同時に子どもたちは今までの緊張感から解放され、一斉に走る者、友達とふざける子、思い思いの行動に後ろからの先生の大きな注意の声も耳に入らない。
  「この道に入るとホッとするのでしょうね」と先生も苦笑い。そう、この道はすべての人を和ませてくれるのだ。

 春は満開の花の下、ぼんぼりの灯りに夜桜を楽しむ人、夏は緑に覆われた木陰を作り汗びっしょりの下校児に涼を与えてくれる。秋は、芸術的に葉を染めカメラマンの腕の見せどころとなる。

 新入生でおどおどしていた子どもたちも、今では自信にあふれている。もうすぐ先輩になる心構えがあるのかも。

 この子達と楽しい話をしながら共に歩く道。「今日のシャワーは冷たかったよ」「赤ちゃんが生まれるのでお母さんが病院なの」。年賀ハガキが何枚か当たった話など、嬉しいコミュニケーションのひとときだ。

 一番遠方の児童を送り届けた後、再びこの道に戻り、次に帰る2年生を待つ。

 桜の木は今、花の準備をしながら、なじんできた6年生を送り、新しい1年生を迎えようとしている。

 南側には、どっしりと二上山の雄岳がそびえ、奈良の外れで一部の人にしか知られないこの「やすらぎの道」。夕方になると青い外灯が一斉に点灯し、今日も人々の気分を和ませてくれることだろう。


香芝市 塩津恵美子 72歳

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 この魯迅の『故郷』の中の言葉がエッセイ「私のすてきな道」のスタートでした・・・・・

わたしのすてきな奈良の道





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