スニーカーにはきかえて

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江戸川乱歩生誕の碑 (三重県名張市)

探偵小説家を生み出したミステリアスな街

2008.12.5掲載

明智小五郎や怪人二十面相―。原作を読んだことはなくても、この名前を聞いたことがない人は少ないのではないだろうか。名前を聞くだけで子ども時代に戻ったような、ワクワクした気分になるこれらのヒーローを生み出したのは江戸川乱歩。仕事で出かけた奈良県の隣町、三重県名張市で「江戸川乱歩生誕地」の看板を見つけ、好奇心に負けて立ち寄った。

桜井市から伊勢神宮へと続く初瀬街道が通る名張市の旧市街は、どことなく大正や昭和の風情を残したレトロな雰囲気。江戸川乱歩の生誕地はこの初瀬街道から狭い路地を入った所にあった。

笠置寺
街のあちらこちらに怪人二十面相が
本尊弥勒大磨崖仏
名張市観光協会によると碑のある広場は
近年公園に整備されるらしい

この狭い路地の事を「ひやわい」と言うらしい。庇と庇の間が重なり合うほど狭い路地、という意味とのことだ。乱歩の生家は、まさにこの生活感漂うひやわい沿いにあった。今は空き地になっており、民家の中にぽっかりと空いた空間に「江戸川乱歩生誕地」の碑は建っている。碑には「幻影城」という乱歩自筆の文字が、裏には「うつし世はゆめ よるの夢こそまこと」という乱歩の言葉が刻まれている。

江戸川乱歩はこの地で生まれてすぐに引っ越している。物心ついてから初めてふるさとを訪ねたのは昭和27年、乱歩は57歳になっていたという。すでに探偵小説家としての地位を確立しており、選挙の応援をするために故郷へと凱旋したらしい。それをきっかけに地元名張市の人々が生誕の碑を造ろうと働きかけ、3年後の昭和30年に建立されている。

街を歩くと、怪人二十面相の絵が描かれた行灯が各店の前に置かれていたり、「二銭銅貨」という名前の煎餅や「幻影城」というお酒など乱歩ゆかりの名前を持つ商品も売られている。

帰り、来た道を戻るつもりで歩いていると、先ほどとはまったく違う場所に出た。「なばり」という地名は地形が山間の底の隠れて目立たないということで「隠れる」という意味の古語「隠(なば)る」が転じたという説もあるらしい。伊賀忍者の隠れ里ともされる街。何ともミステリアスな気分になった。 (久)

すばらしい眺望
迷路のような狭い路地が続く

地図
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