竹から生まれた姫が美しく成長し、貴族や帝から求婚されながらも月へ帰っていくかぐや姫の物語は、誰もが知る話だろう。
古代歴史の舞台である飛鳥や藤原京の南に位置する高取山は、中世には高取城がそびえたち、現在も立派な石垣が残っている。この高取山が、竹取の翁が住んでいた場所だという説がある。鎌倉時代に僧・仙覚が、江戸時代にも国学者・契沖が、「竹取」は「タカトリ」と読み、高取山が竹取説話の舞台であるという説を唱えている。
「今も町内の至る所に竹やぶがあります」と話すのは、高取町天の川実行委員会代表の野村幸治さん(68)。高取城には竹蔵がありタケノコが常備食として保存されていたり、戦の時に竹の葉を斜面に敷いて、敵を滑らせたという話も伝わっているそうだ。
なるほど、城下町の面影を残す土佐街道を城跡に向かって上ると、あちらこちらに竹やぶが見える。車の通りも少なく、風に吹かれる竹を見ていると、タイムスリップした気分にもなる。
野村さんが中心となって始まり、今や全国から大勢の観光客が訪れるようになった「町家の雛めぐり」も今年で5回目を迎える。メーン会場「雛の里親館」の今年のテーマは「天段のひな&竹取(タカトリ)『かぐや姫の物語』」。生まれたばかりの手作りのかぐや姫が成長する様子を雛人形で表し、最後はパッチワーク専門店「あどばんす」の 協力を得て、月へ帰っていくかぐや姫の姿がパッチワーク作品で描かれている。月へ帰っていくというミステリアスなラストは、いまだ月に自由に行き来できない現在においても神秘的である。
3月の高取町は多くの人が「ひなめぐり」を見に訪れ、大いに賑わうことだろう。少し足を伸ばして、高取山で神秘的な雰囲気を味わってみてもよいのではないだろうか。(久)







