
今もなお厳かな空気が漂う修業の場
2003.8.8掲載
天川村洞川地区に蟷螂(とうろう)の岩屋とこうもりの岩屋という役行者ゆかりの行場があると聞いて、行ってみた。
蟷螂の岩屋の「とうろう」とはカマキリのことで、行者が腰をかがめながら洞窟に入って行く様子を例えたものと言われている。洞川は、標高の高い地形で、夏場も涼しく過ごしやすいというが、ここはさらにひんやりと冷気が漂っているようだ。入り口で懐中電灯を借りて、洞窟の中へ。時折ポトン、ポトンと水滴が落ちる音以外何も聞こえてこない静かな内部は、行の場であることを再認識させられる厳かさがある。洞窟内の壁が蛇のうろこのような模様になっている所を過ぎると「水行の場」にでる。水が溜まった池のような所で、その昔修行が行われていたのだろう。さらに奥へ進み、「親の胎内潜り」というかがんで歩かなければ通れないほどの狭い通路を抜ける。すると行者の「隠れ堂」があり、入り口にはご神水が染みだしている。水を少々手にかけてみるとひんやり冷たく、水行の苦しさが想像できる。さらに奥へ進むと、亀裂の入った岩やつるつる滑る石、しゃがみながらしか進めないような通路と少々険しさが増す。お年寄りや体の不自由な人は、進まないよう呼びかけているのもうなづける。ようやく最終地点にたどり着き、再び入り口へ戻る。
![]() 頭上、足元に気をつけて… |
不思議な感覚を残しつつ、すぐ近くの「こうもりの岩屋」へ。ここは先の蟷螂の岩屋より内部は小さめ。護摩炊きの場と瑠璃の壷と呼ばれる行者の住居が残っている。またコウモリも棲んでいるようだ。この日はコウモリには出会えなかったけれど、夕方になると、活発に動き回るのかもしれない。 この2つの洞窟は、決して観光用に開発されものではなく、1300年に渡って、行者たちの修行の場となっていた地だ。静かに考え、自らを鍛え磨くための洞窟だからこそ、厳粛さがいつまでも残っているのだろう。灯かりを消すと真の暗闇と静寂が訪れる。1300年の重みが感じられるようだ。(と) |
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メモ※これらの洞窟は、観光用に開発されたものではありません。洞窟内では、おしゃべりを慎み、写真撮影は不可になっています。 ※一部、足元が悪く危険を伴う地点がありますので十分注意し、けがのないよう気をつけて下さい。 ※必ず、洞窟入り口の管理人所で受付をしてください。 |
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