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金峯神社と隠れ塔(吉野郡・吉野町)

吉野山の奥深く修験者を見守る古社

2004.8.20掲載

今回登録された世界遺産について調べているうちに、吉野山で行ったことのない神社の名前が目に付いた。金峯(きんぷ)神社である。観光用の地図を見ると、吉野山の温泉街からぐるっと回れるようになっている。どんな神社かと興味を引かれ、向かった。

道幅も狭くなり、人の気配の全くない山道を進む。もしや道を間違えたか、と思った頃にようやくそれらしき門が現れた。門の向こうには急な坂道が続いている。坂を上りきると、工事をしている人の姿が見え、少しホッとした。平地ではとうに散ってしまったアジサイが鮮やかな色で咲いている。木の鳥居の向こうに、いかにも古社と呼ぶにふさわしい本殿がある。

本殿の左手に新しい建物を建てているので何の工事をしているのか聞いたところ、平成13年に火事で全焼した社務所を再建しているという。その工事中の社務所と本殿の間を少し降りると、「義経の隠れ塔」がある。案内がなければ気付かないだろう。元々大峯修業場の一つである。この塔に隠れていた源義経が追っ手から逃れるために屋根を蹴破って外へ出たために「義経の隠れ塔・蹴抜けの塔」ともいわれると説明があった。

義経の隠れ塔
木立の中に隠れるように建つ隠塔
金峯神社
この辺りは古来地下に
鉱脈があると信じられていた

後で吉野山ビジターセンターの蜂谷館長に聞いたところ、この金峯神社は吉野山から山上ケ岳に向かう時に必ず通る場所であり、鎌倉時代には付近には宿坊などが多く建ち並ぶ門前町としてにぎわっていたそうだ。今でも毎年数百人の修験者が山伏姿で山上ケ岳を目指しているという。「昔は自分の命を掛けての修行だったのでしょう」と蜂谷さん。彼らはどんな思いを持ってこの険しい山に入って行ったのだろうか。

帰りは水分神社の方に向かった方が景色がきれいだと、工事をしていたおじさんが教えてくれた。途中、展望台があった。蔵王堂がはるか下に見下ろせる。改めて、こんなに山深い地まで来ていたのだと感じた。

歴史の、それも多くが悲劇の舞台となった吉野山。その歴史の重みを背負っているのが今の吉野山である。世界の遺産となった今、この地の歴史や自然、文化財を守っていくことは、私たちに課せられた使命と言えるのではないだろうか。(久)


地図

交通

金峯神社までロープウエイ吉野山駅から徒歩約1時間40分。バスで約40分。

メモ

TEL 07463・2・8014(吉野山ビジターセンター)

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