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〜ロマンに触れる秋〜 考古学入門


 タンスに眠る帯や留袖、羽織をワンピースやジャケットに―。着物を洋服にリフォームし、個性的なおしゃれを楽しむ女性たちが増えています。たおやかな時の流れのなかで、染め織りの奥深い趣を重ねてきた着物。再び命を吹き込むことで、日本人の美意識と日本の伝統文化を見つめなおしてみたいものです。


着こなしのセンス適材適所で生かす
 和服から洋服へのリフォームがにわかにブームになっているようですが、決して今に始まったことではありません。好きな人たちは、20年ほど前から、和から洋へのリフォームファッションのスタイルを提案してきました。
  吉川学園理事長の吉川志津子さん(73)もその一人。兵児帯をジャケットに変え、留袖からロングドレスを作りました。
「伝統の染織のよさが着物にはあります。それをきちんと生かしたいですね。自分に合った着こなしをしている人はまだまだ少ないのでは」とひとこと。着物地のよさを適材適所でもっと生かしてあげるべきだといいます。
相変わらず中高年の女性たちに人気ですが、最近は年齢の幅も広がってきたようです。生駒市の生涯学習講座としてリフォーム教室を開催する伊藤信子さん(66)も「美しく、体にも優しい絹のすばらしさを伝えたいですね。特に若い人たちに知ってほしい」と話します。
時代を超えて、暮らしのなかでよみがえる和の文化と美の心。仲間といっしょに手作りしたり、ショップを開いたりと楽しみ方もさまざまです。
吉川学園
(奈良市小西町)
毎週火曜、金曜日に、「リフォーム教室」を実施。
チケット制で随時受付。
0742・26・5055

巡り合った理想の地手掛けた作品は千着
 連なる柿園の中に宇宙船のような個性的な建物。西に広がる大きな窓からは高野山の山並みを望み、眼下にゆっくりと弧を描く鳶を見下ろします。オーナーの常岡智侑さん(55)がここにリフォーム服のギャラリーを開いたのは2年前。ハイジのような暮らしにあこがれ、巡り合った理想の地でした。
  「和服のリフォームを始めたのは20年前。息子のようにかわいがっていた知り合いがなくなり、着道楽だった自分の身辺整理をしたことがきっかけでした。そのとき、祖父の紋付と母の夏帯を洋服にしたのです。それが、大きななぐさめになりました」と常岡さん。丹波の厳格な旧家育ち。幼少のころから、祖母や母の着物を羽織っては遊び、独特の美しさを身近に感じていたといいます。
  14年ほど前は、舞台衣装をはじめ、奇抜なデザインの服を好んで作っていました。当事、大阪府知事賞も受賞しています。
「着物の美しさは世界一だと思います。タンスに眠らせていては日本の美学が伝わりません」
  今は、シンプルなスタイルを中心に「着心地を大切にしている」という常岡さん。これまで1000着以上手掛けてきました。どの作品も、洗練されたセンスが光ります。

明るい白壁のギャラリーに服が映える

和洋の美が凝縮されたデザイン
宇宙(そら)
(五條市大深町872−1)
0747・25・2244(*予約制のため事前に必ず連絡を)

袖を通した人への想い
 「コートを初めに作って、破れが出たら、これを半コートに、そしてベストにと、最後までアレンジしていくのが理想」というのは、家業の工場の奥に工房を構える村島日出子さん(59)。今は、京都北野天満宮や大阪の骨董市で販売をしたり、注文を受けて制作をしたりしています。
  35枚の違う柄を黒地ベースにつなげたストールは鮮やかで、色の奥深さが際立つ作品。大島や羽織地をパッチワーク風にデザインしたバルーンスカートも上品です。
  「どんな人が着ていたかと想像すると、いとおしさも増します」
人と人との出会いやつながりも大事にしたいとほほ笑みます。

◇持ち込みの着物地でスカート、パンツ、ブラウスなどの仕立て、着物の買い取りほか。


大島を使ったバルーンスカートも人気
古布創作工房 「作エ門」
(橿原市東坊城町260−2)
オークワ橿原坊城店前から西へ約150m
0744・28・2633

定休日:日曜日
営業時間:9:00〜17:00


古布をつなげたストール


手づくりの喜び オンリーワンの魅力

着物のリフォームを通してつながる人の輪。
情報交換をし切磋琢磨している
  3年前に結成された「つむぎグループ」は、代表の古橋安代さん(76)を中心に、毎月2回、県西奈良県民センターで着物のリフォームに取り組んでいます。メンバーは女性8人。各家に眠る着物を、スカートやコート、ドレスなど、思い思いのスタイルに仕立て直しています。「魅力は、思い出の着物で世界にたった一枚のオリジナル作品ができること。捨てられるはずだった着物が洋服や小物としてよみがえる喜びはひとしお」と古橋さん。年に一度の作品発表会へ向け、一丸となり制作活動に励んでいます。メンバーの友永貞子さん(82)は、「みんなでアイデアを持ち寄り、それぞれのセンスや個性を組み合わせるのが楽しい。まるで“水を得た魚”のよう」と生き生き。手づくりした作品を身につける喜びを実感しながら、リフォームを楽しんでいます。

仲間と共に店を 得意ジャンル生かす
 村田良さん(54)は数年前、やたら高価なリフォーム服を見て、自分で作ろうと決心。今春、工房兼店舗をオープンしました。洋服の仕立て、バッグや帽子、布ぞうりなど、主婦たちがそれぞれ得意ジャンルを生かし制作に励んでいます。
  そのなかの一人、20年以上、帽子作りを続けている田村通子さん(66)の帽子は、かぶり心地がよく、デザインセンスも抜群。頭に優しく沿う自在性、型崩れしない機能性が人気です。「シャキッとした生地からとろとろの柔らかいものまですべて生かすことができます。着物地の色の深さも魅力的」と田村さん。ウールは帽子作りにはぴったりだといいます。
  上から下までのトータルにこだわらず、何か一つでも和服地を取り入れ、気軽に楽しむことが梵天のコンセプト。村田さんの夢は広がります。

留袖から発想するシックな雰囲気が好きという村田さん

優しさが魅力の帽子にファンも多い
ぬいこうぼう「梵天(パフラマン)」
(奈良市高畑町、福地院北交差点東入る)
0742・24・0228

営業日:水曜〜土曜日・不定休(電話で確認)
営業時間:10:30〜17:00


依頼者の笑顔を思い新たな命を吹き込む
 「手間ひまかけて仕上げられた時代の着物は、すべてが優しく現代洋服を作る上でも不可欠な“癒し”のキーワードに満ちている」と話すのは布KOZO―デザイナーの小谷啓二さん。ギャラリーをオープンして6年目。妻の悦子さんと二人三脚で着物からのリファッションを提案しています。家に眠る着物を生かしたいと訪れる人のイメージに合わせたイージーオーダーも好評で「2回目のオーダーからはすべてお任せされるケースが多く、毎回責任重大ですが期待以上のスペシャルワンメイク作品を手渡しできる今のポジションが企業デザイナーのころとはまた違うスリリングで心から楽しい作業」と話します。
  つい夢中になり日付が変わる作業も「気が付けばわが身が“和のアイデンティティ”に魅了され安らぎ癒されている」と小谷さん。また「結実した作品が再び新たな依頼として戻ってくるたび、現代社会がかなり疲れているようにも感じられ、我々の創作パワーがそれを勝れば…と念じ、これからも意欲的にトライしていこうと思う」と熱く語ります。

昭和初期代、紗地と白無垢丹後縮緬地を組み合わせた作品。
結婚式後の食事会用にと依頼され、カクテルウエアスーツを製作

「着物をほどき、丁寧に洗う。素材と向き合い格闘する中で、
その着物のルーツにかかわった人々の情熱が見えてくる」と小谷夫妻
創作ウエア−手づくりギャラリー
「布KOZO−」(ぬのこぞ−)

(奈良市西大寺小坊町)
0742・49・2501
http://www.nunokozo.com/

定休日:日曜・祝日


着物から洋服へリフォームする際のポイントについて、
リフォーム教室主宰の松島初枝さん(59)に話を聞きました。
 ウールやシルクの着物地は、しっかりしていて縫製がしやすいだけではなく、意外と家庭でも洗濯しやすいのが特長。洋服へのリフォームに適しており、日常的に着てもらえます(ちりめんは素材として不向き)。せっかく眠っていたものをよみがえらせるのですから、普段着として気軽に着れるものがいいですよね。また、着物独特の美しい柄を生かしながら、無駄がでないよう裁断を。体型に合った形で今風のデザインを取り入れると、とてもあかぬけた印象になります。
  家にある着物で作るのが基本ですが、最近では着物のリサイクルショップが増えてきています。1000円程度から販売されているので、お気に入りの着物を探して挑戦してみるのも一つの方法です。
ひとくちメモ

◇ウール・シルク素材の着物地の洗濯法…ネットに入れて洗濯機の弱モードで洗い、1分ほど短く脱水しアイロンをかけて干す。

◇シルクの裏地の紅茶染め…たっぷりのお湯が入った大きな洗面器にティーバッグ2〜3個入れ、シルクの裏地を半日から1日浸けおきする。あげる前に酢を大さじ1杯入れて10分ほどおくと色止めになる。後はすすいで1分ほど短く脱水しアイロンをかけて干す。美しい山吹色になり、シミや汚れが目立たなくなる。

※取扱いにはくれぐれも注意ください。


※このページの内容は2005年11月18日現在のものです。








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