特集

匠とアートに出会う わが町わが里小さな旅


ゆったりとスローな空気が流れる奈良大和の地。秋の一日、観光ガイドではなかなか見つけられない匠の工房やアートギャラリー、癒しと交流の空間に出掛けてみませんか。アートの香りあふれる町は数々ありますが、その中から今回訪れたのは、名刹の塔を望む斑鳩の里と奈良の東、茶畑が広がる田原の山里。町里の個性的な表情に出会う旅はいかがでしょう。

斑鳩の里 地図

斑鳩のアートマート 創作市場「夢違」

法隆寺の夢違観音からネーミング。アートや手作りに関するショップや工房、喫茶が市場のように並び、創作の世界へと誘います。
店の一つ、グラス工房「きらら」を主宰する矢井田陽子さん(34)は、ヒュージング・バーナーアクセサリーをメインに制作。作品には、繊細な透明感に輝く矢井田さんのセンスがちりばめられています。
奥では、サンドブラスト体験も可能。また、ギャラリーでは個性派作家の企画展を開催。オーナーの杉本憲司さん(50)がこだわった奈良の地酒や特産品の販売もあり、食とアートをコラボしたクリエーションマーケットに。懐かしい空間に身をおくような心地よい時が流れます。

創作市場「夢違」

住所
斑鳩町法隆寺北1-2-40
TEL
0745・74・3500
備考
営業10〜17時。月曜休館(祝日の場合翌火曜日休)
▲「細かい作業を重ね、焼き上がりを待つドキドキ感は何ともいえない」という矢井田さん


▲杉本さん企画の地酒

アロエ栽培の匠 川西農園

「リタイア後いろいろ作ってみましたが、もっと皆に喜ばれるものを作りたい」という思いから、アロエ栽培を始めた川西農園の川西利治さん(78)。健康や美容によいといわれるアロエを一鉢から増やしていき、今ではビニールハウスいっぱいに栽培。生鮮食品として毎朝、平群町のスーパーへ生葉を出荷するまでになりました。
  「表皮をはぎとったゼリー状の葉肉部分は、苦味もなく、わさび醤油で食べてもおいしい。毎朝、果物といっしょにミックスジュースにして飲んでいます」という川西さん自身、アロエの愛好者。農園前では、アロエ・ベラのポット苗も安価で販売。立ち寄った人に、アロエのよさを熱心に語っています。

川西農園

住所
斑鳩町法隆寺3132-3
TEL
080・3768・7954(要電話連絡)

▲土の排水性、保水性がポイントとアドバイスする川西さん

着物地からウエディングドレス 手作り紗絽夢「ぐりーんひぃる」

大正、昭和のモダンな着物柄を生かし、ワンピースやジャケットに。和古布と色染め布のリバーシブルの帽子、アート作品を思わせるような色重ねのフェルトショール等など―。色の微妙な組み合わせとデザイン性の高さに、思わず引き込まれてしまう清水ワールド。
  清水加代さん(53)=写真右=の布との出会いは、30年以上前。「子どものころから色遊びが好きだった」ことから、色のある布の魅力にひかれていきました。今年は、雑誌「創作市場」に、着物地を組み合わせたウエディングドレスが紹介され、注目を集めたばかり。母や祖母の着物や帯から個性的なウエディングドレスを作ってほしいというオーダーが続いているといいます。「いかにも着物リメイクというデザインではない服を―」という清水さんの創作の舞台はますます広がっています。

手作り紗絽夢「ぐりーんひぃる」

住所
斑鳩町法隆寺1-11-29
TEL
0745・75・2163(要電話連絡)
備考
普段着からウエディングまでオーダー制作。
ウエディングドレスはリースも可能。
▲思い出の着物をリメイクしたウエディングドレス。母娘に好評だという

藍染体験と芸術の発信 法隆寺画廊

法隆寺の松並木を借景に、落ち着いた雰囲気を醸し出すギャラリー。企画と貸しのどちらも展開しています。フロアには大きなテーブルを置き、サロン的な雰囲気も―。藍染め作家として数々の受賞歴がある西元栄子さん(60)の作品も展観します。25年間、藍ひとすじに創作活動を続けてきた西元さん。「藍のなかでノリが溶け出すぎりぎりの線」が模様の面白さを生み出し、友禅から入ったという作品は絵画的で、一幅の絵を鑑賞するようです。木々を配した緑豊かな庭の工房では、藍染め体験も可能。オーナーの西元敬之さん(34)は、雅楽の演奏会も企画。今後は、「芸術の発信基地としてさまざまな企画を行っていきたい」と目を輝かせます。

法隆寺画廊

住所
斑鳩町法隆寺1-9-33
TEL
0745・75・7717
備考
営業10時〜17時。月曜定休

▲絵画的表現を生かせるのれんやタペストリーが中心

▲和気あいあいと藍染め体験
田原の里 地図

お茶をテーマに交流 竹西農園「遊茶庵」

景色の中で茶畑と田園の緑が幾重にも層を描く田原の里。ここで、癒しの空間「遊茶庵」を開いた竹西農園。竹西長士さん(49)、多香子さん(47)夫婦は、安心のお茶を消費者に提供したいと、EM自然農法で土壌づくりを行い、有機JAS認定を受けています。
木づくりの和風の建物。遊茶の部屋では、実際に体験してもらいながら、おいしいお茶の淹れ方や効能など、興味深い話を聞くことができます。「都市の人々に、自然な形で、農業や食のこと、里山のことを知ってもらいたい。コミュニケーションにより、お互い分かりあい、よりよいものを提案、提供できたら―」と笑顔で語る竹西さん=写真右=。
開け放たれた大きな窓からは、山の緑がしっとりと迫ります。


竹西農園「遊茶庵」

住所
奈良市中之庄町458
TEL
0742・81・0383
備考
平日予約制。土、日曜10〜17時営業。
▲お茶は無料。自家製米粉100%の緑茶のシフォンケーキ250円は、緑茶の奥深さが味わえ、しっとり感も満点

北欧家具のような優しさと存在感 藤本順正 木工工房

木工作家の藤本順正さん(42)は8年前に田原の里へ移り、オーダー家具の制作に励んでいます。創作テーマにこだわりませんが、「椅子は人の身体を受け止める道具。四方八方から見られるので、形の緊張感がある」と、その魅力にひかれ、今は椅子作りをメインに。
 人が北欧家具のようだと評すように、優しく軽快な表情をまといながら、機能性と強さを秘めたつくりには凛とした存在感があります。オーダーから完成まで1〜3カ月。思考の熟成期間を経て丁寧に磨かれ、完成へ。「自然体でいられる田原の人と自然の空気感が大好き」と、はにかむような笑顔が印象に残ります。

藤本順正 木工工房

住所
奈良市横田町345
TEL
0742・81・0154。不定休
備考
見学受付は15〜19時。

▲優しさと強さが共存する家具作品

ステンドグラス光と色の茶論 メリーガーデン

余頃さん夫婦が田原の里にステンドグラスの工房を構えて20年余り。2階の茶房の窓には、100〜300年前のヨーロッパ各国のステンドグラスがはめ込まれ、美しさと荘厳さが―。建物は鉄骨に電柱460本を組んだログハウス。ユニークさが際立ちます。
  余頃千枝子さん(60)=写真右=は、制作活動のかたわら、プロを目指す人のためのステンドグラス教室も主宰。生徒は自由な雰囲気のなか、大作制作にも余念がありません。大きな薪ストーブを配した空間は、四季それぞれに違った「癒しの表情」をつくり出し、いつの間にか談笑の輪ができています。

メリーガーデン

住所
奈良市横田町297
TEL
0742・81・0712
備考
工房、教室見学可能(要予約)。
「気まぐれ喫茶」(コーヒーあり)も要予約で。

▲輸入もののステンドグラスも見ごたえがある

奈良の風情を麻布に 岡井麻布商店

文久3年創業。本麻奈良晒の店として知られる「おかい」の本店が、ここ田原にあります。「奈良の風情あふれる柄や奈良の色を大事にしている」(岡井孝憲さん・56歳)というように、奈良絵のコースターなど、奈良のよさを商品として表現し、発信。茶巾が中心だった商品構成を、もっと日常の暮らしに入り込んだものを―というコンセプトのもと幅広く展開しています。2年半ほど前には、東向商店街にも出店。
  本店では麻の原料を見たり、触ったりすることができます。また、織り機の並んだ部屋で、シンプルな麻のコースター作りも―。環境に優しい自然の麻布には、ゆったりとした時の流れも織り込まれているかのようです。

岡井麻布商店

住所
奈良市中之庄町107
TEL
0742・81・0026
備考
9〜17時。予約制。土、日曜、祝日休館
▲手織り機でコースター作り体験も可能


▲麻布の原料と吉野杉を使った新商品「福きたる」

田原やま里博物館

奈良市観光課では、地域の伝統の技や文化に触れる機会を提供するため、「田原やま里博物館」のマップを製作。今回紹介した以外にも、陶芸や家具工房、しいたけ園などを掲載しています。なお各所とも見学は基本的に予約制。
◎問い合わせは、奈良市役所観光課(0742・34・5135)。奈良市観光情報センターのホームページ(http://narashikanko.jp(お知らせのコーナー))でもダウンロードできます。


このページの内容は2006年9月29日現在のものです。





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