特集

古本屋今昔


少し薄暗い店内の壁一面を覆う本。床には本が山積みされ、店の奥には難しい顔をした店主が静かに座っている―。古本屋さんというと、入るのに少し勇気が必要な、こんな場所という印象があるかもしれません。昔ながらの古本屋さんに加え、最近ではインターネット専用の古本屋さんも増えています。今回は古本屋さんの今昔を紹介。古くて新しい世界をのぞいてみませんか。

古本屋は昔と現代が 並列・同列に並ぶ場

「古本屋は時代に影響されず、時代が層となっている所」と話すのは大学堂2代目店主の海田尚彦さん(65)。創業は昭和3年。会津八一や司馬遼太郎、亀井勝一郎など奈良に縁ある文豪たちも訪ねてきたという古本屋です。

「読書は昔の優れた人たちと対話する有意義な時間」と海田さん。文学や芸術は優れた先人の精神や魂がモノとして表れたものです。流行もありますが、古本屋ではいろいろな時代の人々の精神や営みが現代の意識と並列に、また同列に並んでいると海田さんは話します。

奈良の寺社で出版された本など部数の少ない本を求め、奈良の古本屋には全国から人が訪ねてくるようです。海田さんは「奈良に関する古い名著には、きれいな写真は載っていなくても、昔の人が感じた奈良のすばらしさが書かれています」といいます。

「本の面(つら)を見ればどの程度の本か分かる」と海田さん。良い本には魂が入っているそうです。「倫理観の薄い時代だけに、良い本を選んで扱い、昔の人の精神を人々に伝えたいという自負はあります」と話します。

古本屋めぐりをして、店主と話に花を咲かせる―。そんな時間も現在には必要なのかもしれません。

「大学堂」

奈良市東向北町8-4 TEL:0742・24・4545  営業時間:10:30〜20:00  月曜定休

#代替表示#

ネットで古本屋 1冊の本との出会い

子どものころから本が好きだったという橿原市在住の主婦・十場幸子さん(41)がインターネットの古本屋「このはな文庫」を開いたのは2年前の春。1人で自宅に居ながら好きなことができるとの思いから始めました。

扱う本は、もともと持っていた本や自分が「これは」と思う本を仕入れます。「探すのも楽しみ。自分が読みたいと思う本に出会える機会も増えました」と十場さんは話します。販売用には本の状態が良いものを見つける事も大切です。

販売はインターネットのオークションシステムを利用し、常時50〜100冊を販売しています。ほかに、これまで3回イベントにも参加しました。

「古本は新刊の本と違って出回るのは1冊だけ。探していた本に出会えた時は本当にうれしい」と十場さん。インターネットがないころは古本屋を一軒一軒回って探すしかありませんでしたが、インターネットで検索すると簡単に探せるようになりました。

「お小遣いにはなっても、副業にはなりません。あくまで本が好きだからやっていること」と話す十場さんは2人の息子を持つお母さん。好きな本に囲まれて暮らしています。

「奈良の小さな古本屋このはな文庫」

http://konohanas.exblog.jp/


▲お気に入りの詩集を手にした十場さん

▲今年の4月に橿原市の植物屋「風草木」で開催された古本市に出店。その時の様子

音楽を聞きながら 町家でゆったり読書を

奈良町に9年前オープンした「ならまち文庫」は、奈良の地域雑誌を発行しようと思った宇多滋樹さん(60)が、情報を集めるために始めた古本屋です。資料を集めると歴史に詳しい人も店を訪ねて来るようになり「ぶらり奈良町」を発刊。現在第9巻まで発行されています。

「奈良はゆっくりと物事を考えるには良い場所」と話す宇多さんは奈良が好きで、大阪に住んでいた中学生のころから自転車でよく奈良に来ていたそうです。よりゆっくり本を読み、選んでもらいたいと数年前に宇多さんの住まいである築90年の町家に店を移転。喫茶も始め、「古書喫茶ちちろ」をオープンしました。

店内にはクラシック音楽やジャズなどのLPが流れ、落ち着いた雰囲気。大学も近く、学生が資料を持ち込んでやってくることもあるそうです。よりゆっくりしたいという客からの要望に応え、「炊き込み御飯」(650円・1日5食)や「沖縄黒島のアーサうどん」(550円)などランチメニューも始めました。

また宇多さんは映画監督の河瀬直美さんを応援し、裏方で手助けしていますが、カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した「殯(もがり)の森」では自身も俳優として映画に主演しました。奈良における文化の拠点の一つとして、今後ますますいろいろな人が集まってきそうです。

「ならまち文庫 古書喫茶ちちろ」

奈良市南半田西町18-2 TEL: 0742・27・3130 営業時間:11:30〜18:00 月曜定休
※宇多さんが留守の時は食事メニューは休み




▲古書は文芸書や民俗学の単行本が中心
古本屋リスト
店名・所在地・電話番号・営業時間・定休日 主な取り扱いジャンル 販売方法・引取り・その他こだわりなど
朝倉文庫
奈良市光明院町13
(もちいどのセンター街)
0742・27・0363
10時〜19時 木曜定休
文学・歴史・芸能・絶版文庫 店頭のみ
可能
こだわり----
コミック及びアダルト系は扱いません
エイワ
磯城郡田原本町新町36
0744・33・2889
10:00〜20:00 不定休
コミック・文庫・全集・和本・専門書・その他 店頭・インターネット
すべてが可能ではない。百科事典はお断り
こだわり----
他店では取り扱っていない発掘調査報告者や専門分野の本あり
おくだ書店
香芝市穴虫3129-125
0120・710・813
古書全般 インターネット・古書催事 (古本祭り・デパート等)
出張買い取りあり
こだわり----
本だけでなく古文書や古地図等紙物全般。戦前の古い物歓迎
香具山ブックリー
橿原市南浦町910
0744・25・3804
10:00〜翌3:00 年中無休
コミック・文庫・新書・ハーレクイン・同人誌・古書・音楽CD・DVD・ビデオ・TVゲームソフト・パソコンゲームソフト・駄菓子 店頭のみ
店頭にて買い取り
こだわり----
各コミック本の全巻セットが豊富。古風な店内にゲームコーナーやビリヤードコーナー卓球コーナーなども
キトラ文庫
生駒市本町6−2
0743・75・9020
11:00〜20:00 水曜定休
奈良関連本・古書一般

店頭・インターネット・古本市

可能
こだわり----
全古書連加盟店

紀文堂書店
奈良市三条宮前町1-38
0742・35・2285
夕方〜22:00 不定休
古典籍・古文書から最新巻のマンガまであらゆるジャンル

店頭・インターネット・年数回即売会も

買い取りあり。出張買い取りも可
こだわり----
和本・浮世絵等趣味性のあるものを置いている

十月書林(じゅうがつしょりん)
奈良市下御門町38
0742・26・3215
11時〜19時30分 不定休
歴史・哲学・思想・文学・美術・宗教・文庫・コミック 店頭中心
可能
こだわり----
リサイクル系とは違った本格派古書店。名著や参考文献等も
書肆 銀鈴舎(しょし ぎんれいしゃ)
奈良市西大寺本町4-26
0742・36・9150
11:00〜20:00ごろ 不定休
文学・詩歌・近代資料 インターネット中心・店頭・目録
買い取り可
こだわり----
毎月1回小冊子発行
たぬき
橿原市曽我町1193-4
0744・23・2457
6:30〜9:00 13:00〜19:00
日曜定休
コミック・古書・近代文学(初版・絶版)他 店頭・インターネット
可能
こだわり----
「届けよう知の文化・あなたの街へあなたの手で」を目標にしている
智林堂書店(ちりんどうしょてん)
奈良市餅飯殿町39
090・8381・3246
11:00〜18:30ごろ 木曜定休
文学・歴史・芸術・趣味本・洋書・和本・鉄道グッズ 店頭・インターネット
可能。持ち込み歓迎。出張買い取り可。
こだわり----
戦前古書から最新刊まで。絶版文庫・旅や鉄道の本・奈良に関する本に力を入れている
ブックセンター馬見
北葛城郡広陵町馬見北7丁目1-6-4
0745・55・7664
文庫本・実用書・文芸書・参考書・ノンフィクション・専門書 インターネット販売のみ
北葛城郡・生駒郡・香芝市であれば出張買い取りも可
こだわり----
いらなくなった書籍を一冊でも多く再利用できるように努力している
プラネット
奈良市小西町8-2
0742・27・7756
11時〜20時 正月のみ休み
漫画(コミック単行本・雑誌・同人誌) 店頭・インターネット
可能
こだわり----
プレミア絶版マンガも充実。
古本屋蝶野(ふるほんやちょうの)
奈良市西大寺本町1-42
0742・33・1981
12時〜21時 月曜定休
歴史と文学(国文)と趣味の本。ハーレクインも 店頭のみ
歴史関係の学術書であれば可
こだわり----
ドイツ文学の原書や英語・フランス語の歴史の原書あり
桝田書房
大和郡山市伊豆七条町211-2
0743・56・3630
一般学術書・美術書・歴史書・国文学書・文学作品・宗教書・哲学書・和本・古文書・絵巻・古地図・仏画・書画 無店舗販売。年末の百貨店での催事他イベントに参加。訪問販売
引き取りは大いに歓迎。書画の無料鑑定も実施
こだわり----
求道的精神のもと、日々勉強と考え販売以上により新しい価値の発掘・研究に時間を割いている
マンガ屋
橿原市中曽司町83-4
0744・24・9139
11:00〜21:00 月曜定休
コミック・文庫・ハードカバー・ハーレクイン・古書・写真集・ゲームソフト及び攻略本 店頭のみ。5月と10月に特売セールあり
持ち込み歓迎。 出張買い取りも可
こだわり----
コミックは完結のセットが多い。
悠南書房(ゆうなんしょぼう)
奈良市富雄元町2-6-39
0742・44・7416
10時〜20時 不定休
歴史・思想・宗教・郷土史 店頭・目録・即売展・インターネット
まず電話で相談を受けた後出張買い取り
こだわり----
人文関係の本が充実
倭の国書房(わのくにしょぼう)
磯城郡田原本町千代387-6
0744・34・3838
11:00〜20:00 日曜定休
奈良の本・古代史・考古学・ノスタルジア古本(懐かしい昭和の人々・風景など) 店頭・インターネット「スーパー源氏
可能
こだわり----
新刊も合わせて奈良の本・古代史・考古学関係の本が充実

古本屋いろいろ

もちいどのセンター街にある「智林堂書店」は1年半ほど前にオープンしたばかりの新しい古本屋。近くには数軒古本屋がありますが、店主の長江幸彦さん(37)は、「奈良は文化的な町のわりに本屋が少ない。古書店街のようになれば」との思いからこの地を選んだそうです。

2代目であったり、このように新しく店を開いたり、形態もさまざま。各店力を入れて集めている分野も違います。あなたのお気に入りの一冊を見つけてみませんか。


このページの内容は2007年6月22日現在のものです。





Web版リビングダイヤル 【引き受けます】 ガルエージェンシー奈良中央 広告掲載案内


トップページ会社概要広告の掲載サーチ登録案内事業紹介ご利用の注意事項サイトマップお問合せ


当ホームページが提供する情報・画像を、権利者の許可なく複製、転用、販売することを固く禁じます。
特集ページへ戻る このページのTOPへ 特集ページへ戻る