今年の中秋の名月は9月25日。日々慌ただしく過ぎて行き、しばらく月を眺めていないという人もいるかもしれませんが、せめて名月と言われる秋の月を楽しんでみませんか。今回は「月」をイメージした秋にふさわしい和菓子を紹介。満月にはまだ日にちがありますが、和菓子で月を感じ、たまには風流な気分を味わってみませんか。
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はるか古(いにしえ)、万葉の時代の人々は奈良の月を見て感銘を受け、多くの歌などを残しています。同じ月を1300年後の今も見ることができる―。そんな月を三笠で表現できないかと、今年の8月に新しく作り出されたのがこの作品。三日月に雲がかかっている様子を表しています。 外側の生地は口当たりの良いふわりとした柔らかさ。餡(あん)はあっさりめですが粒は残し、メリハリのある食感を作り出しています。甘すぎないため、餡が苦手な人でも抵抗なく食べられます。 「奈良が好きだから地域密着。ならまちと共に発展していきたい」と話すのは同店4代目店主の中西克之さん(39)。元々餅屋でしたが、4代目になる時、和菓子を始めました。「和菓子を通して、奈良の物や歴史を全国に広めていきたい」と話します。 |
御菓子司なかにし
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昨年12月にオープンした「天平庵」は「奈良で愛される和菓子店」を目指し、菓名にはできるだけ日本最古の歌集・万葉集から付けるようにしています。 その中で「月の舟」は柿本人麻呂が夜空を海、月を舟、一面に輝く星を林に見立てて詠んだ歌にちなんだ和菓子です。タルトの上にアーモンド・ピーカンナッツ・かぼちゃ・ひまわり・松の実をたっぷり乗せてさっくりと焼き上げた、木の実のかぐわしい香りいっぱいのお菓子です。 また、「月見団子」(5個525円・10個1050円)などに使われる「和菓子の命」とも言える餡(あん)にもこだわりがあり、小豆は北海道十勝産で農場指定の減農薬小豆を使用。庵主の青木一郎さん(27)によると、「小豆で産地だけでなく農場まで限定している和菓子店はほかにない」そうです。その小豆を使って100%自家製餡される餡は、「おいしさ」にこだわり、甘さは控え目ですが、小豆の風味豊かなみずみずしい餡に仕上がっています。 |
天平庵
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奈良でも数多くの観月行事が行われますが、その中でもひときわ華やかな祭が、猿沢池に雅やかな管絃船が浮かぶ采女(うねめ)祭です。奈良に都があったころ、帝の寵愛が薄れたことを嘆いた采女が猿沢池に身を投じた―。「大和の恋月」はそんな悲恋の伝説が残る采女祭をイメージして作られたお菓子です。 形は半月をイメージしていますが、見ようによっては池に浮かぶ舟にも見えます。外側はカステラの生地で中に粒餡と求肥(ぎゅうひ)を包み込んだ商品。ふわっと柔らかいカステラと、餅と砂糖を練りこんだ求肥のもっちり感が対照的なお菓子です。餡の味があまり前面に出ていないため、洋菓子が好きな人にもおすすめです。 |
大和雅匠庵 宝家
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パッケージもまさに満月。ウサギの焼印もかわいらしい、米粉の生地でみたらしのたれを包んだみたらし団子です。 たれには中部地方でよく使われる濃い目のたまり醤油を使用。醤油らしい香りの高いたれとなっています。開発者である工場長の森川順行さん(45)によるとたれの固さが難しいそうです。滑らか過ぎると垂れてしまうため、柔らかすぎず、でも口どけは良い固さにこだわりました。米粉には国産のコシヒカリを使用。「『これが米粉だ』と分かってもらえるような、米粉独特の食感を生かしたい」と話します。 製造後、すぐに瞬間冷凍され、凍った状態で販売されます。常温で解凍して2〜3時間経つと食べごろ。冷蔵庫に入れても固くなりにくい製品に仕上がっているので、まだまだ続く残暑に冷たい団子を楽しめます。 |
千壽庵吉宗奈良本店
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創業明治18年。当時関取であった六田平七が相撲取りをやめて商売を始めようと、うどんと焼餅を売ったのが初めだそうです。4代目になり、現在の店舗に移ってから既に約半世紀。それ以前から販売されているのが「御所の月」と名付けられた三笠饅頭です。50年以上に渡り、代々の職人さんが同じ作り方を伝承して作り続けています。 「生地は『厚めで柔らかく』と受け継ぎました」と話すのは現在生地を焼いている、4代目店主の娘婿である六田誠良さん(46)。一枚一枚手作りで、焼き方や火加減でも厚さや固さは変わってきます。餡は岡山産の小豆を使用。皮が柔らかいので、粒を残しながらも柔らかい餡ができます。 50年以上同じ商品が作り続けられ、食べ続けられているのは確かな味と地元の人の応援があってこそ。「名前や素材もできるだけ地元の物を使い、地元密着で御所としてのブランドを作っていきたい」と話します。 |
御菓子司 あけぼ乃
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正木榮さん 「月見どろぼう」
お月見の夜、子どもたちが各家に供えてあるお供え物をもらいに回る「月見どろぼう」と呼ばれる風習が、生駒市高山地区にあります。
以前は全国各地でも行われていたようですが、現在残っている地域はわずか。この地域でも戦後は途絶えていましたが「高山の未来を考える会」が復活させ、今も続いています。元々は団子や里芋が中心でしたが、今は子どもが好きなお菓子が用意されるなど、時代に応じて変化しているようです。
この風習がどういった理由で、どのように生まれたのかは分かっていません。生駒市の郷土史研究を続ける正木榮さん(80)は、江戸時代、おかげ参りの途中でこの地域を通りかかった人に、お茶を施したことと関係があるのではないかと考えています。
そこで正木さんはこの風習を「月見どろぼう」ではなく、「おせんぎょ(=施行がなまった言葉)もらいに行こう」と表現します。月への畏敬の念からお供えし、その恩恵を賜る。元々のそういった月への思いを大切に、また伝えていきたいと話します。
月見に行われる、今となっては珍しい風習。あなたの地域ではどんなお月見を迎えますか。
このページの内容は2007年9月14日現在のものです。
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