私たちが毎日何げなく使っている「言葉」―。人間だけが持っているすばらしい"道具"ですが、うまく使いこなせていなかったり、その大切さを忘れかけている人も多いのではないのでしょうか。
今回はいろいろな形で言葉にかかわる人たちを紹介します。身近な「言葉」について考えてみませんか。

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今年7月に第1回目の「ポエトリー・リーディング奈良」が開かれました。文字通り「詩を読む」会。参加者が自作の詩や散文などを発表し合う催しです。「詩とは伝えたいという心が形になったもの」というのは実行委員会代表のなかもとみゆきさん(27)。ポエムには詩に限らず戯曲や芝居、歌も含まれます。 今は何かにつけて他人と競争することを求められます。そんな社会の中で自由に個性を発揮できる場などないのではないか―。その受け皿を作ろうと、「表現者」であるなかもとさんが舞台の傍ら詩人の山吹草太さん(43)と一緒に、当時の活動拠点である神奈川県で4年前に始めたのが「ポエトリー・リーディング」です。 優劣を競い合うのではなく表現することが目的。「言葉はその人の人生そのもの」となかもとさんは言います。着飾って見せるのではない等身大の言葉、気持ちに根差した言葉は人の心に残ります。言葉に出会って自分が変わることもあれば、自分が変わったからこそ生まれる言葉もあります。 「奈良はいろいろな物の発祥の地。精神的なイベントを、奈良から発信していくことには意味があるのではないか」と話す山吹さんも、2年前から奈良に居を移し活動を続けています。今は2人が中心となってイベントを行っていますが「いずれは自発的に行われるようになれば」というのが最終的な願いです。 奈良で始まったばかりの「ポエトリー・リーディング」。今後こういう場がより求められ、新しい出会いの場となっていくのかもしれません。 |
![]() 「第2回ポエトリー・リーディング奈良」
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詩人の吉武祥子さん(34)にとって、言葉はどこからか降りてくるものだそうです。流れていく言葉を消えないうちに書き留めて出来上がったのが、第3作である詩集「言葉の流れ星」です。 吉武さんは幼稚園の教諭として勤めていましたが過労で退職。その後、重度の顎関節症と膠原病を併発し今も闘病生活を続けています。「独りの時間はいろいろな自分と出会えるすてきな時間」と吉武さん。逆境にある時、より多くの言葉がわき出てきて言葉によって力づけられるそうです。 第2作の絵本「奇跡をさがして」の挿絵を描いた絵本作家の葉祥明さんから、生まれてくる言葉を人に伝えた方が良いとアドバイスされインターネットなどを通じて発信。詩集の発行へとつながりました。 吉武さんは詩の魅力を年齢や性別に関係なく、それぞれが自分の言葉として受け止ることができることと語ります。9月には「めぐり愛」と題した朗読会を開催。会場いっぱいに全国から観客が集まりました。「言葉は人の心を結ぶ目に見えないリボン」と表現する吉武さん。彼女から発信された言葉は多くの人の心を結び、大きな輪を作りあげています。 |
![]() 吉武祥子さん
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「詩のボクシング」とは2人の朗読ボクサーがボクシングのリングに見立てた舞台で自作品を交互に朗読し、どちらの声や言葉が観客に強く届いたかをジャッジが判定する「声と言葉のスポーツ」です。 奈良大会はこれまでに3回行われています。奈良市在住の須川映治さん(54)は第2回から参加。それまで詩など作ったこともありませんでしたが、仕事や体調の変化もあり、言葉にして表現してみたいという気持ちもあり申し込みました。 「詩のボクシングに参加したことで友人の幅が広がった」と須川さん。参加者とのつながりもでき、大阪の街やクラブに出掛けて10代の若者たちとラップを言い合ったり、ポエムの会に参加するなど積極的に外に出て行くようにもなりました。 他の人の表現を見て、相手の思いを柔軟に受け止められるようになったのも大きく変わったところ。自分の思いを言葉にして出していくうちに自分の世界がはっきりし、同時に相手の世界も見えるようになりました。 言葉を活字として残すのではなく、生かすこと。思いをストックするのではなく外に向けて出していく「カラオケの代わり」と話す須川さん。世代を超えた友だちの輪はどんどん広がっているようです。
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「詩のボクシング」 |

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「子どもは好きな人の言葉でないと吸収しない」と言うのは、30年以上にわたって朗読教室を開き、話し言葉の大切さを伝えている三岡康明さん(57)。家族は好きな人の代表。ひと昔前は近所にお使いを頼まれたり、おじいさんやおばあさんと同じ家に暮らす中で、話す相手によって言葉遣いが違うことに気付き、敬語も自然と覚えていきました。 しかし核家族が増え、家庭内での会話が減ってきました。子どもの言葉をゆっくり聞くことなく大人が結論を先に出してしまったり、「〜しなさい」と要求に応えることばかりを求めがちです。 「子どもに話す言葉を省略しないこと。家で両親が仲良く話している姿を子どもに見せることも大切です」と三岡さんは話します。夫婦間で交わされる「あれ」「それ」などの言葉では、子どもは両親がどういう気持ちで何の事を言っているか理解できません。 民話や童話には作家が推敲を重ねた、また昔から人々が語り継いでいる練りに練られた言葉が詰まっています。三岡さんの朗読教室では民話や童話を借りることによって、表現する力をつける指導を行っています。 50代以上の世代は戦後の経済成長を支え、物作りに励んできました。今度はその経験を子や孫の世代に話し、歴史とともに「言葉」も受け継いでいくことが大切になっているのかもしれません。 |
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このページの内容は2007年10月26日現在のものです。
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