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秋は心を澄まして 写経・写仏に挑戦


肌寒さを感じる季節になりました。澄んだ空気の中、静かに、そして穏やかな気持ちで机に向かう―。そんな秋のひとときを過ごしてみませんか。近ごろ、若い世代にも注目されている写経について調べてみました。

感謝しながら1文字ずつ丁寧に

写経とは、お経を1文字1文字、丁寧に書き写すことです。中国で印刷技術がなかった時代に、仏法を広めるため、お経を手で書き写したのが始まりと言われています。日本では、天武天皇の下、川原寺で一切経を写経した記録が残っていて、奈良時代には、国の管理下で写経が行われていました。そして写経することに功徳があると説かれるようになり、現在は特別な人に限らず、広く一般の人も写経できるようになりました。

唐の高僧・鑑真大和上により創建された唐招提寺(奈良市五条町)では、毎年11月17日に御影堂宸殿で写経会(しゃきょうえ)が行われています。同寺執事の西山明彦さん(56)によると、末寺である伝香寺の記録に、筒井順慶の菩提寺として再興された際、一般を対象に写経会を催された桃山時代の記録が残っています。途中、長らく途絶えた後、昭和34年、唐招提寺の高僧の命日である11月17日に再び行われるようになりました。

写経会では、丁字(チョウジ)を口に含み、塗香で手を清め、さらに香象をまたいで全身を清めて入堂し、天平時代の般若心経を手本に静かに写経を行います。同寺の写経会は限られた人数しか参加できませんが、他寺で行われている写経会のルーツとも考えられています。西山さんは写経の心構えを「教えが伝わったことに感謝しつつ、下手でもよいので1字1句間違えないように」と話します。

幅広い世代が注目心落ち着くひととき

高田好胤管主の発願で、昭和43年から写経勧進による伽藍復興事業が進められている薬師寺(奈良市西ノ京町)では、現在も写経道場で365日、写経することができます。「お経は見るだけでも功徳があり、声に出して読誦すると大きな功徳があり、さらにお写経すれば、より大きな功徳があると言われている」と話す薬師寺執事の生駒基達さん(44)。納経すると金堂・西塔などに永代供養されるとあって、いまや700万巻を越える写経をされました。

最近は、幅広い世代が取り組むようになり、結婚する若いカップルが2人で1巻写経したり、家族で1行ずつ交互に1巻を書き上げる姿も見られるそうです。また、同寺東京別院で特別に実施された夜間の写経会には、仕事帰りの若い女性が多数訪れたそうです。「写経に集中することで、心が落ち着き、清らかな気持ちになれる」と生駒さん。慌ただしく過ごす現代人にとって、写経の時間が自分を見つめなおすよい機会となっているようです。

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正倉院に残る写経と同じ、天平時代の製法で作られた和紙を使用(薬師寺)

自分自身を浄化し本来の純粋さを

吉野山にある大峯山護持院・櫻本坊は、約1300年前、天武天皇が建立した神仏がともにある神仏習合の修験根本道場です。大峯山の奥駆修行をはじめ、一般の誰でもが参加できる座禅や写経会なども行っています。住職の巽良仁さん(47)は、「一字一句思いを込めて書くことで、自分自身が浄化され、本来の純粋な姿に戻れる。大切なのは書かせていただくという気持ち」と話します。

毎月第2土曜には、道場で写経会を実施していますが、そのほかの日でも、役行者神変大菩薩(重要文化財)が祀っているお堂には、いつでも写経できるよう机が置かれており、霊験あらたかな空間で写経に取り組むことができます。

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霊験あらたかなお堂で写経を(櫻本坊)

一筆に気持ちを込めて心の仏様に出会う

写経だけではなく、仏様の姿を描く写仏も功徳があると考えられています。當麻寺中之坊(葛城市當麻)では、壮麗な絵天井の下で、當麻曼荼羅に描かれる仏様を写仏することができます。「同じ下絵をなぞっても、描き終えると人それぞれ違うお顔になります。写仏は、自分の心の中の仏様との出会い」と同寺副住職の松村實昭さん(35)は言います。呼吸を整え、心を落ち着けて筆を運ぶよう心がけましょう。

また同寺では、定期的に写仏の会を実施しています。写仏原画を制作した渡邊載方さん(52)を講師に招き、基本的な筆使いや個人的なアドバイスを受け、じっくり時間をかけて描きます。「仏画には夢があります。描きたいという気持ちが大事」と渡邊さん。熱心な指導が好評を得ています。今秋から、墨による写仏を一度でも経験した人を対象に、水彩写仏という試みも始めています。新しい写仏の世界が広がりそうです。

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画家たちが奉納した150点の絵画の下、真剣な眼差しで写仏に取り組む参加者(當麻寺中之坊)

写経だけではなく1泊2日の尼僧体験も

信貴山玉蔵院(生駒郡平群町)では、宿坊を利用して僧・尼僧体験を実施しています。写経のほか、毘沙門天様に向かい真言を唱えながら108回立ってはひざまづく百八礼や、座禅の一種である阿息観(あそくかん)を行います。もちろん境内のお掃除も修行の一環。「朝の山のきれいな空気を吸っていただき、日常では味わえない体験をしていただければ」と同院貫主の野澤密孝さん(46)。

遠くは九州、関東から訪れる人もあるそうです。精進料理も好評で、悩みを抱えた人はもちろん、観光を兼ねて体験に訪れる人も少なくないとか。日帰り、または1泊2日など、内容は相談に応じて調整してもらえ、10人以上で申し込めば、尼僧の衣装も借りられます。またとない貴重な経験ができることでしょう。

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心静かに机に向かう時間を(玉蔵院)

写経・写仏ができる県内の主な寺院一覧

名称・所在地・連絡先・URL

実施日時・内容

法相宗大本山 薬師寺


奈良市西ノ京町457
(近鉄西ノ京駅より徒歩約1分)
電話:0742-33-6001 FAX:0742-33-6004
http://www.nara-yakushiji.com/osyakyo/
毎日実施。8:30〜17:00。椅子席もあり。また、毎月8日(薬師縁日)には、写経会と管主法話が、第3日曜日には、写経会と副住職法話が行われる
内容
納経料「般若心経」1巻2,000円、「薬師経」1巻4,000円、「唯識三十与頌」1巻5,000円
※自宅での写経の場合、別途発送諸費用300円が必要

子安山帯解寺


奈良市今市町734
(JR帯解駅より徒歩約3分)
電話:0742-61-3861 FAX:0742-63-0825
http://www.obitokedera.or.jp/index.html
毎月23日(7月除く)に写経会を実施 14:00〜16:00
※事前予約が必要
内容
般若心経を写経する。初めての人は、参加費2,000円で写経用紙付き。2回目以降は1,000円。抹茶付き

西大寺


奈良市西大寺芝町1-1-5
(近鉄西大寺駅南口より徒歩すぐ)
電話:0742-45-4700
毎日実施 8:30〜16:30 ※事前予約が必要
内容
納経料1巻1,000円。道具一式あり

西大寺塔頭 清浄院


奈良市西大寺芝町1-1-2
(近鉄西大寺駅南口より徒歩すぐ
西大寺東門入ってすぐ)
電話:0742-46-2468
毎月第3日曜日に月例写経会(浄心写経会)を実施ただし、月によって変更の場合あり。
※多人数の場合は、事前連絡を
内容
9:00〜写経 , 11:00〜法要 , 11:30〜法話 , 12:00〜食事
志納。道具一式あり

矢田寺 大門坊


大和郡山市矢田町3549
(矢田寺バス停より徒歩約5分)
電話:0743-53-1445
http://www.yatadera.or.jp/
毎月23日は写経の日
9:00〜17:00
※団体の場合は、事前予約が必要。ただし11月のみ休み
内容
納経料1巻1,000円。道具一式あり

東大寺


奈良市雑司町406-1
(近鉄奈良駅より徒歩約15分)
電話:0742-22-5511
http://www.todaiji.or.jp/
郵送にて、写経および写仏セットを取り寄せることができる。希望すれば本坊の写経場を利用できる
※事前予約が必要
内容
〈写経〉…「華嚴唯心偈」「般若心経」の2種類あり。1セット1,500円。2種類の内、どちらを希望するか明記の上、ハガキ、ファックス、メールのいずれかで申し込むと、振替用紙入りの写経セットが届く
〈写仏〉…1セット3,000円。申し込み方法は、写経と同じ

当麻寺 中之坊


葛城市當麻1263
(近鉄当麻寺駅より徒歩約10分)
電話/FAX: 0745-48-2001
http://www.taimadera.org/
毎日実施 10:00〜17:00 (受付15:00まで)
また、定期的に「写仏講習会」を実施。女性仏師・渡邊載方さんが運筆の指導を行う。参加希望者は問い合わせを
内容
〈写仏〉…初めての人は、参加費2,000円と拝観料500円で、写仏筆、写仏用紙(半身)1点、基本稽古用紙1点、記念色紙、特製クリアホルダー、タオル付き。2回目以降は、参加費1,000円(拝観料込み)で、基本稽古用紙1点、タオル付き
〈写経〉…初めての人は、参加費2,000円と拝観料500円で、筆、写経手本1点、写経清書用紙3枚、記念色紙付き。2回目以降は1,000円(拝観料込み)

法輪寺妙見堂


生駒郡斑鳩町三井1570
(中宮寺バス停より徒歩約15分)
電話/FAX:0745-75-2686
http://www1.kcn.ne.jp/~horinji/
毎月第4日曜日に実施 9:00〜16:00
内容
納経料1巻5,000円。「妙見菩薩神呪経」より冒頭の104文字を写経する。蓮弁法印、写経用筆、記念品付き。持ち帰り用もあり

大峯山護持院 櫻本坊


吉野郡吉野町吉野山1269
(ロープウエイ登山口より徒歩約60分)
電話:07463-2-5011
http://www.sakuramotobou.or.jp/index.html
毎月第2土曜日10:00〜16:00に、写経・写仏会を実施
※事前予約が必要。希望者があれば、いつでもお堂で写経できる。8:00〜17:00
内容
奉納冥加料1巻2,000円。般若心経を写経する。
※自宅での写経の場合、別途発送諸費用300円が必要

信貴山 玉蔵院


生駒郡平群町信貴山
電話:0745-72-2881
http://www.sigisan.or.jp/gyokuzoin/gyokuzo.html
日程などは要相談
※必ず事前予約を
内容
僧・尼僧〈1泊2日〉…1万4,000円。法話、般若心経読経、百八礼、阿息観、護摩祈祷、大般若祈祷、諸堂参拝、作務、読経・写経、夕食、朝食など
〈日帰り〉…8,000円。法話、戒壇めぐり、祈祷、諸堂参拝、般若心経読経・写経、百八礼、阿息観、昼食など

信貴山 千手院


生駒郡平群町信貴山
電話:0745-72-4481
http://www.sigisan.or.jp/senjyuin/senjyu.html
毎日実施 9:30〜14:00
※予約した方がよい
内容
納経料1巻1,000円

信貴山 成福院


生駒郡平群町信貴山
電話:0745-72-2581
http://www.sigisan.or.jp/jyofukuin/jyoufuku.html
会員制で月に1度実施
※会員登録は随時受付中
内容
写経を行い、長老の指導を受ける

※詳しくは各寺院へ問い合わせてください。またはホームページで確認を。


このページの内容は2007年11月9日現在のものです。





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