特集

泣いて笑って魅せられて 大衆演劇 劇場めぐり



義理人情や勧善懲悪の芝居で泣かせて笑わせ、見事なショーで魅せる大衆演劇が、今再び親しみやすい庶民の娯楽として注目されています。ここ数年で、県内には3つの芝居小屋が開館。にわかに大衆演劇が活気づいています。

街おこしにも一役 榛原町のやまと座

近鉄榛原駅前商店街でひときわ目をひくのが、もともとパチンコ屋だった店舗を改装し、もうすぐオープン4年目を迎える大衆演劇の常設劇場「やまと座」(宇陀市榛原区)。劇場前に置かれたカラフルなのぼりや花輪が、町並みに彩りを添えています。

「低料金だし、日替わりで出し物が変わるので、毎日観に来る方もいますよ」とオーナーの中森秀幸さん(62)。ひと月ごとに違う劇団が上演し、1回の公演で約3時間、ミニショー、お芝居、グランドショーを楽しめます。入場料は前売りだと1300円。地元の演劇ファンはもちろん、お気に入りの劇団をおっかけて他府県からやって来る人もいるそうで、劇場周辺の飲食店が賑わうなど、地元の活性化にもつながっているようです。

写真
「劇団むらさき」座長の南条すすむと、同じく座長の姿之の丞。香水のよい香りが伝わるほど、近くで楽しめる(やまと座1月公演にて)

映画館から劇場へ 大和高田の弁天座

近鉄大和高田駅から徒歩1分の好立地にある大衆演劇劇場「弁天座」(大和高田市)は、長年映画館として親しまれてきた高田シネマを改装し2005年にオープンしました。「後ろへ行くにつれ緩やかな傾斜がついているので、役者の足元まで見えるほど、どの席からも見やすいのが弁天座の特長」とオーナーの宮崎昌明さん(60)。また役者にも、花道の構造がよいと好評を得ているそうです。

芝居の演目や踊りは毎日替わります。客席にいた60代の女性2人組は、月に2〜3回は大衆演劇を観賞している常連さんで、「踊りあり、お芝居ありで、あっという間の3時間」「日常を忘れられるひととき。また、手軽な価格がうれしい」とその魅力を語ります。同劇場から自転車で10分の距離に住んでいるため、娯楽として気軽に足を運んでいるお二人。お気に入りの役者の話になると、なんとも幸せそうな表情を浮かべていました。

写真
「新生紅」の公演。熱の入った芝居に、観客も熱中(弁天座1月公演にて)

地元密着型の劇場 御所市の羅い舞座

カラオケやゲームセンターが入っているライブジャパンビルの2階にある大衆演劇劇場「羅い舞座(らいぶざ)」(御所市)は、芝居、舞踊、歌謡ショーが楽しめる常設劇場として2006年にオープン。代表の大空龍仁さん(55)は、「大衆演劇というより、”地元演劇”」と考え、地域密着型の取り組みも行っています。例えば、公演とは別に、劇場主催で劇団員との親睦会を催したり、観客が舞台で歌える前歌コーナーを設けたり。また、会員カードを作り、来場回数に応じてポイントをつけ、無料入場券を進呈しています。

観客の構成は、「初めての人30%、劇団についているファン30%、芝居小屋についているファン40%」と分析する大空さん。地元密着型サービスの評判は上々のようで、今後も、地元に喜ばれるイベントを企画しているようです。

写真
「新星劇大導寺劇団」座長の大導寺たかし。花道で踊る、美しい女形にかけ声も(羅い舞座1月公演にて)

身近な庶民の娯楽 大衆演劇の歩み

昭和初期、身近な娯楽として親しまれていた大衆演劇は、当時、北海道から沖縄まで700を超える劇団があったと言われています。節劇(ふしげき)や剣劇の芝居に、歌や踊りのショーなど、芝居小屋には長蛇の列ができるほどでした。

しかしその後、映画やテレビなどさまざまな娯楽の登場で次第に客足が遠のくようになり、都市の再開発ブームで劇場の数も減っていきました。

再び脚光を浴びたのは、昭和50年代に入ってから。歌手としてもブームを巻き起こした梅沢富美男さんの活躍もこのころです。現在、劇団の数は100を超え、20代、30代の若手座長が主流となってきました。ほとんどの劇団が本拠地を離れ、1カ月単位で全国各地の小劇場やセンターを巡る旅興行を行っています。年末の紅白歌合戦に出演した早乙女太一さんのように、注目度の高い役者も登場しています。今後の大衆演劇の動向が楽しみです。

取材協力/大衆演劇ファンのための情報誌「演劇グラフ」

座長の世代交代が進んでいる今、「新生紅」の紅大介さん(19)も、2006年7月に座長を襲名しました。初舞台は7歳。父である前座長の紅あきらから、バトンを引き継ぎ、看板役者として務めています。「お客さまに夢を与えられる仕事だと思っている。舞台に立つと、普段と違う自分になれるのが魅力」と大介さん。旅興行は九州から関東へと幅広いですが、座員14人で力を合わせて頑張っているそうです。「まだまだ若手の未熟者ですが、常に一生懸命やっているので、ぜひ観にきてやってください」と、力強い眼差しで、はにかみながら抱負を語ってくれました。

  • 送り出し…その日の公演がすべて終了した後、座員総出でお客さんを見送ること。役者さんと身近で触れ合える大衆演劇ならではの慣例で、これが楽しみで劇場やセンターに通う人も多い。
  • お花…ひいきの役者にあげるご祝儀のこと。ショーで舞踊や歌の際に、舞台で現金を渡す大衆演劇独特の習慣。袋に入れてある場合とお礼のままの場合があるが、金額が多いときはお礼を扇のように広げたり、レイのように丸くつないでつけたりもする。
  • 劇団幕(ふんどし)…劇団の名や座長の名が大書きされた飾り幕。舞台間口に合う4m〜6mほどの大きさで、舞台奥や脇に吊る。ほとんどがひいき(ファン)からの贈り物である。
  • 口上挨拶…幕間の挨拶のこと。単に「口上」とも言う。主に座長が行い、観客へのお礼と、翌日の外題の予告、劇団グッズの販売などを行う。次回の内容がいかにすばらしいかを簡潔に、しかも面白おかしく聞かせるのがコツ。
  • チビ玉…1984年、当時「若葉劇団」で、女形を演じて人気を博していた子役が、坂東玉三郎にあやかって「チビ玉」と名付けたのが始まりと言われている。当初は、「女形を演じる男の子役」という意味だったようだが、その後この名称は男女を問わず、子役一般のこととして広く使われるようになった。

出典/演劇ネット

名称・所在地 公演時間・入場料・座席数・定休日・交通アクセス・連絡先 現在の演目および今後の予定
やまと座 昼の部12:00〜 夜の部18:00〜/大人1500円・シニア(70歳以上)1400円・子ども(小学生まで)800円
※前売1300円/一般席118席・桟敷35席/月1回定休日
--------------------------------------------
近鉄榛原駅から徒歩5分 0745-82-1111 (2月は改装中)
3月1日(土)から、本家真芸座座長・片岡梅之助と新生真芸座座長・哀川昇のニ座合同公演
弁天座 昼の部12:00〜 夜の部17:30〜/1500円
※前売1300円・200円増で座席予約も可/ 一般席109席・桟敷20席
--------------------------------------------
近鉄大和高田駅から徒歩2分  JR高田駅から徒歩約5分
0745-22-5689 (10:15〜20:00 2月は改装中)
3月1日(土)から、劇団花車座長・姫京之助と、同じく座長・姫錦之助の公演
大衆演劇 羅い舞座 昼の部12:00〜 夜の部18:00〜/大人1500円・子ども800円
※前売1300円/98席/不定休
--------------------------------------------
近鉄忍海駅から徒歩5分 0745-62-5802

2月公演は、魁・南條みつ雄。2月28日(木)昼の部まで

このページの内容は2008年2月15日現在のものです。





Web版リビングダイヤル 【引き受けます】 女性のための調査 広告掲載案内


トップページ会社概要広告の掲載サーチ登録案内事業紹介ご利用の注意事項サイトマップお問合せ


当ホームページが提供する情報・画像を、権利者の許可なく複製、転用、販売することを固く禁じます。
特集ページへ戻る このページのTOPへ 特集ページへ戻る