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この人に会いたい 天理市 里山文庫・cofunia 主宰 前田知里さん

「庭にあるすべての植物が研究用」という前田さん。京都の実家では電化製品に囲まれ近代的に育つ。子どものころ夏休みに訪れた山口県の祖母の家の「かまど」「五右衛門風呂」がある生活の影響を受けた。



 取材のきっかけになったのは天理市萱生町(かようちょう)の古民家に掲げられた里山文庫という看板。中を見ると古道具の無人販売所でした。どうやら古道具を売って古民家改修の資金集めをしているようです。里山文庫とはどういうものなのか、運営している前田知里さんが住む成願寺町の古民家を訪ねました。

 

不便なところに昔の知恵 記録し日本語にして伝える

 前田さんの名刺には料理教室・民泊・第3種旅行業、それから全国通訳案内士(英語・中国語)と書かれています。里山文庫とは、「日本を含む全世界の昔ながらの活動を書き残す」ことなのだそうです。

 

 前田さんはオランダの大学で農学・有機農法を学び、大学院卒業後、伝統農法が残るブータンで半年暮らしました。それから台湾原住民、アジアのアカ族と出会い、中国雲南省やタクラマカン砂漠を横断。地域の植物がどのように生活食に結びついているかを見てきてました。日本の植物で同じように利用できるかを実験し、その成果を文化とともに日本語と英語で紹介しています。

 

真っ黒の酸柑茶(さんかんちゃ)。
台湾の柑橘で黒くなるまで干して作る。
これを割って煮出してお茶にする。
小さい方は日本のユズで作った。

 

 前田さんの研究の支持者からの「その場所に連れて行ってほしい」というリクエストで旅行会社を立ち上げました。またコロナの流行がきっかけで国内の活動に力を入れ、薬膳レクチャー付きの民泊を行うことにしました。

 

棚に実験用の発酵食がずらりと並ぶ。
現地の植物と日本で採取した植物で作っている。

 

 前田さん所有の天理の2つの古民家は、好きな山の辺の道のそばという立地で、大阪方面へ行くのにアクセスがよかったのです。

 

紙に巻いてあるのはお香。
植物の葉や実を乾燥させて実験中。

 

古墳でコミュニティづくり 将来はcofunia が中心に

 cofunia(コフニア)とは萱生町にある古民家の横にある、古墳を核としたコミュニティのことです。宿泊施設、農園体験、レストランなどの構想は膨らんでいて、活動はこれからになります。

 

 「今民泊にしている成願寺町の古民家は住居にもなっているので、萱生町の方の古民家をリノベーションして活動の中心にしていくつもりです。そして植物民俗学の研究を継続していきたいですね」と話します。

 

 オンライン限定のサロンで研究発表を有料で配信。サロンのメンバーはレストランシェフや国内外の研究者で構成されています。cofuniaでの活動が中心になりそうです。

 

 「世界も日本も不便なところにその土地ならではの食の文化があります。昔ながらの伝統を1人でも多くの人に伝え、残していけたらと思います」と研究者、前田さんは話します。

※このページの内容は2023年8月4日現在のものです。

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