親の会から次のステップへ、カフェ「あさって」設立に向けー不登校に向き合う
不登校の児童生徒数は年々増加し、2024年度には全国で30万人を超えるのではないかと言われています。
学校に行けない子どもたちにとって、心から安心して過ごせる場所はなかなか見つからないのが現状です。その中で、新しい形の居場所を作ろうと活動してるグループを紹介します。
始まりは親の会
大和郡山市不登校等の会「マザーリーフ」(代表・嶋田真奈美さん)が、不登校や引きこもり、発達障害の当事者らが「社会と関わるきっかけとなるような居場所」作りを始めています。
マザーリーフは、大和郡山市の不登校児童生徒の学力養成を目的とした学科指導教室「ASU」に通っていた児童生徒の保護者らが中心となって始めた不登校などの子を持つ親の会で、2015年に設立されました。
同市内で、月1回定例会を実施し、特に不登校の子どもの子育てに悩む親が気軽に集い、悩みの共有や情報提供などを行ってきました。
設立当時は、現在のように居場所や親の会の数は非常に少なかったことから、市外や県外から参加する親もいたそうです。
10年の活動を通じて「不登校」という言葉は認知されてきたと感じている嶋田さんですが、一方で「不登校になる理由や内容が大きく変化して複雑化し、数も急増しているのに、今なお居場所が追いついていないのが現状です」と話します。
親の会から新たなステップへ
最初は、親の会がなくなることを目指して活動を続けていましたが、活動を続ける中で、不登校の児童生徒が増え続け、理由も多様化するのを目の当たりにし「今までとは違った新しい活動の場所を考えたい」と思うようになったそうです。
「不登校のつらさは、当人やその親でないとわからない。それなら、その当事者らが集い、少しでも安らぐ場所を提供できればと考えるようになりました」と嶋田さん。
「みんなで楽しくやろう!」と呼びかけたところ、活動に賛同してくれる仲間が次々と集まりました。場所を探してくれる人、掃除してくれる人、資材を分けてくれる人、SNSなどで発信する人など、それぞれが持つ得意分野を生かし、しかも皆、ボランティアで参加してくれています。
当事者やその保護者も立ち寄って手伝ってくれる
カフェ「あさって」の設立へ
カフェ「あさって」は大和郡山市小泉町にある空き家を活用します。現在は、今年秋のスタートを目指して、改装を進めているところです。
不登校の児童生徒の居場所にとどまらず、発達障害や引きこもりなど、社会に出るのに不安を感じている人らが集い、安心できる場所を目指しています。
開設後は、カフェで就業体験ができるように、短い時間でも働く体験ができるシステムを導入予定です。また、レンタルBOXを設置し、手作り品やアート作品などを販売していくそうです。
まだ開設前ですが、作業をしていると、近所の人が声をかけてくれるそうです。嶋田さんは、近所の人と不登校の子どもたちが自然と笑顔で交流している様子を見て、居場所の大切さを改めて感じたと言います。「『あさって』が、小さな種をまくきっかけを作り、その種が育つお手伝いができる場所になれればと思います」と嶋田さん。
カフェでは、読み聞かせやミニコンサートも考えているそう。奈良で、今までにない新しい形の居場所が一つ増えるのも間もなくです。
改装中も、いろいろな提案が舞い込んでくるそう
■クラウドファンディング実施中(7月17日まで)
「大和郡山に不登校・引きこもり・行き渋り・発達障がいの希望の光となる「居場所」を!」
クラウドファンディングはこちら
■不登校親の会「マザーリーフ」
毎月1回大和郡山市市内にて定例会を開催
https://blog.canpan.info/motherleaf/
■「あさって」準備室
※このページの内容は2024年6月28日現在のものです。