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漢方養生で日々健康~体質を知るともっと元気になれる~vol.42 「シミ」にお悩みの方へ

 漢方理論をもとに女性の悩みに応えてきた一陽館薬局のかしたに陽子さんに、健康を保つ秘訣を聞く連載企画。今回は、これからの季節に特に気になりがちな「シミ」についてのお話です。体の内側からの対策も考えてみませんか。

 

 

シミの原因は生活習慣なども関係

 あれっ? ふと鏡を見たら「こんなところに、こんなシミあったかしら……?」「以前より目立っている……?」
 日焼け止めや日傘などでしっかり対策しているつもりでも、気づけば頬や腕に薄く浮かび上がるようなシミが現れていることがあります。年齢とともに増えるこの悩み、「年のせいだから仕方がない」とあきらめてはいませんか?

 夏は紫外線が強いうえに薄着になることもあって、シミが特に気になる季節ではないでしょうか。
 スキンケアや美容医療などの進化により、効果的な"外側からのアプローチ"は選択肢が増えましたが、今回は体の内側に目を向ける、根本的な予防と改善につながる考え方を紹介します。

 実はシミの原因には、紫外線だけでなく、肌の新陳代謝の乱れ、ホルモンバランスの変化、ストレス、そして日々の生活習慣など、さまざまな要素が関わっています。
 例えば、寝不足が続くとシミが濃くなったり、食事や便通などを意識して生活を整えるといつの間にか消えていたりする経験がある人もいると思います。
 つまり、シミという外見に現れる現象だけを解消しようとしても、"発生する習慣"を続けていると一時しのぎとなってしまうのです。

 

シミのタイプと原因

 シミにはいくつかの種類がありますが、最も一般的なのは「老人性色素斑」といわれるものです。
 これは紫外線を多く浴びてきた人に多く見られ、40代以降に増加する傾向があります。特に顔や手の甲、腕、デコルテなど、日光にさらされやすい部分に現れます。

 一方、30代~40代の女性に多く見られるのが「肝斑(かんぱん)」です。両ほほや口のまわり、額などに左右対称に広がるのが特徴で、日焼けだけでなく女性ホルモンの影響が大きいとされています。
 妊娠やピルの服用、更年期など、ホルモンの変動が関与していると考えられています。

 シミの原因としては「メラニン」が知られていますが、紫外線を浴びると、皮膚の色素細胞がメラニンを作り、これが蓄積することでシミになります。本来メラニンには肌を守る役割があるのですが、過剰に作られたり排出がうまくいかなかったりすると、色素沈着として残ってしまうのです。
 また、加齢に伴い肌のターンオーバーが遅くなったり、活性酸素の影響による細胞の酸化も、シミの発生につながります。

 

体の中からのスキンケアを

 一般的な対処法としては、ケミカルピーリングやレーザー治療、美白成分を含むスキンケア用品の使用などで一定の効果がありますが、刺激が逆に悪化の原因となることもあり、慎重な見極めも必要とされています。
 表面的な改善は即効性がある反面、効果の持続には限界があることから、肌に影響を与えている"体の内側"の改善にも目を向けてみると、より効果的ではないでしょうか。
 漢方では「肌は内臓の鏡」という考えがあり、肌の不調は体の内面の不調の現れととらえます。
 シミに関係する内臓のひとつが「肝(かん)」です。肝には、血を貯めて全身に巡らせる働きがあり、自律神経やホルモンバランスとも深く関係しています。
 過剰なストレスや睡眠不足、不規則な生活によって肝の働きが低下すると、血の巡りが滞り、「瘀血(おけつ)」という状態になります。血流が悪くなると、肌に十分な栄養が届かず、メラニンの排出も滞りがちになります。

 また、女性に多い「肝血不足」では、ホルモンの働きが不安定になりやすく、肝斑のリスクが高まります。妊娠出産で多くの血を消耗したり、生理不順や更年期症状などホルモンバランスの乱れが重なるなど、"体の変化"が肌に現れやすくなるのです。
 漢方では、肝の働きを整え、血の巡りを改善し、体を内側から健やかに保つ「体の中からのスキンケア」の方法でお肌の状態を整えることを目指します。

 しかし、どんなに優れた薬やスキンケアを使っていても、生活習慣が乱れていては本質からの改善にはつながりません。
 特に、野菜不足や冷たい飲食物の摂りすぎ、睡眠不足、喫煙、過度の飲酒などは、体を冷やし、血流の悪化やホルモンバランスの乱れの要因として注意したいものです。

 質のよい食事と休養を心がけることは肌の調子が整うだけでなく、気持ちにも自然と前向きな変化が生まれることでしょう。
 鏡に映るご自身がいつも笑顔であるために、健康習慣を見直すことから始めてみませんか。

※このページの内容は2025年6月20日現在のものです。

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