漢方養生で日々健康~体質を知るともっと元気になれる~vol.49 「寒暖差に敏感」な方へ
漢方理論をもとに女性の悩みに応えてきた一陽館薬局のかしたに陽子さんに、健康を保つ秘訣を聞く連載企画。今回は、寒暖差に敏感な人が気を付けたい体の変化と、その対策についてのお話です。

寒暖差で気を付けたい体の変化
近年は四季の区別がつきにくくなった代わりに、常に寒暖差を意識した生活になってきていると聞かれます。
「しっかり寝ているのに疲れが抜けない」「肩や首がこりやすくなった」「最近、風邪をひきやすい気がする」といった不調の要因として寒暖差による体の調整疲れが関係していることがあります。
気温のアップダウンによる身体への影響や、どのような不調が起こりやすくなるか、どのような対策が効果的かについて、特に気をつけたい体の変化を5つご紹介します。
① なんとなく疲れが抜けにくい
寒暖差があると、体は体温を一定に保つために常に働き続けます。屋内でも暖かい場所と寒い場所を行き来するだけでも、体の中では細かな調整が行われています。
医学的には、気温差に対応するため自律神経が頻繁に働き、代謝や血流調整にエネルギーを使うことで、疲労感やだるさが出やすくなると考えられています。
「特別なことはしていないのに疲れる」という状態は、このような自律神経の機能疲労が影響しているかもしれません。
<生活の中でできる対策>
・睡眠時間を十分確保し、生活リズムを整える
・冷たい飲み物や生ものを控え、体を冷やし過ぎない
・軽い運動で血流を促す
② 首・肩がこる、頭が重い日が増える
寒いと筋肉は緊張し、暖かくなるとゆるみます。寒暖差が大きいと、この切り替えが頻繁に起こり、首や肩の筋肉に負担がかかります。
医学的には、血管の収縮と拡張が不安定になることで血流が滞り、肩こりや緊張型の頭痛が起こりやすくなるとされています。
<生活の中でできる対策>
・首元を冷やさない服装を心がける
・長時間同じ姿勢を続けない
・入浴で首や肩をしっかり温める
③ 寝つきが悪い、気分が落ち着かない
寒暖差は自律神経にとって大きなストレスになります。体温調節を担う自律神経が過剰に働くことで、バランスが乱れやすくなります。
その結果、寝つきが悪くなったり、途中で目が覚めたり、イライラや不安感を感じやすくなることがあります。
<生活の中でできる対策>
・朝は太陽の光を浴びて体内時計のリズムを整える
・寝る前はスマホやテレビを控える
・ぬるめのお風呂でリラックスする
④ 手足の冷えやむくみが気になる
寒暖差によって血管の働きが不安定になると、血流がスムーズに巡りにくくなります。その影響で、手足の冷えやむくみ、だるさを感じやすくなります。
医学的には、末梢血管の循環が低下することで起こると考えられています。暖房の効いた室内と寒い屋外を行き来することが多い方は特に注意が必要です。
<生活の中でできる対策>
・首・手首・足首を冷やさない
・下半身を中心に温める
・軽いウォーキングで血行を促す
⑤ いつもより風邪をひきやすい
寒暖差による疲労や自律神経の乱れが続くと、免疫力にも影響が出ます。体の防御機能が十分に働きにくくなり、風邪や体調不良を起こしやすくなります。
医学的には、血流低下や睡眠の質の低下は、免疫細胞の働きを弱める要因になるとされています。
<生活の中でできる対策>
・しっかり睡眠をとる
・室内の乾燥を防ぐ
・お腹や首元を冷やさない
元気を回復する生活が「養生」
漢方では、寒暖差は気の流れを滞らせ、心身の緊張を生じると考えます。
自律神経の調整力の低下は、体を動かすエネルギーの不足(=「気虚」)や、体を守るバリアの役割(=「衛気(えき)」)を消耗し、風邪などに対する抵抗力の低下につながるとされています。
体を温める、休める、栄養をとるなど元気を回復する生活を"養生"といい、病気になる前の健康回復法として、漢方においても大切な考え方とされています。
寒暖差ははっきりした物体としての"異物"ではありませんが、表面的には気づきにくい負担として、疲労・痛み・自律神経・血流・免疫力などに影響を与えます。
「年齢のせいかな」「忙しいから仕方ない」と、なんとなくやり過ごしている人もおられるかもしれませんが、気温差とともに暮らす現代に見合った "ちょっとした備え" を意識し、日々の暮らしの中で体をいたわることが、元気に過ごすための大切なポイントといえるでしょう。
※このページの内容は2026年1月23日現在のものです。








