法楽寺(田原本町) 桃太郎誕生の地 園児に伝わるおとぎ話

近鉄田原本駅周辺を歩いていると、「桃太郎」という文字や桃から産まれたばかりの桃太郎のイラストをよく目にする。桃太郎のモデルとなったと言われる吉備津彦命が産まれたのが田原本町で、今は法楽寺という寺になっているという。近鉄西田原本駅から田原本線で1駅、近鉄黒田駅から歩いて数分のところに法楽寺はあった。
吉備津彦命の父にあたる孝霊天皇の黒田廬戸宮(くろだいほとのみや)が元々この地にあったという。子どもである吉備津彦はこの地で産まれたであろう、つまり桃太郎誕生の地ということだ。
岡山県にある吉備津神社では吉備津彦が温羅(うら)という鬼を退治した話が伝わっているそうだ。温羅とは、鉄の文化を持っていた一族ということで、おそらく朝鮮半島から海を渡ってきた渡来人であり、火で焼けて肌が赤くなっていたり、西洋人が来ていた可能性もある。その風貌が当時の大和朝廷から見ると鬼のイメージとなったのかもしれない。
また田原本周辺には、大和川の支流である初瀬川の上流から甕(かめ)が流れてきたという話が伝わっている。さらに近くの唐古・鍵遺跡からは桃の種も発掘されており、そんな話がいろいろ合わさって桃太郎の物語は生まれたのだろうとされている。
田原本町では20年ほど前から岡山県とも交流を持ち、桃太郎は町おこしにも一役買っている。この9月には第12回桃太郎サミットが田原本で開催され、全国から桃太郎愛好家が集結。また数年前から町では町内の幼稚園と保育園の年長さんが桃太郎の絵を描き、毎年何点かを近鉄田原本駅横の広場で展示しているという。

活動の中心となっている桃太郎会会長の服部誠さん(66)は、「若い人にも加わってもらって、桃太郎で活気ある町にしていきたい」と話す。昔から聞いているおとぎ話が、こうして子どもたちに伝わっていくのだろうと、何だかほほえましく感じられた。(久)
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※このページの内容は2012年11月2日現在のものです。