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音羽山観音寺 後藤住職の花だより 2022年冬

 音羽山観音寺は桜井市音羽山の中腹にあります。1月の寒波で、昼間でも外気温がマイナス1度、玄関に入っても3度という厳しさです。この日は朝の9時に雪が降り始め、2時間で庭が真っ白になりました。犬のスイカ、オサムは元気に庭を駆け回り、ネコのクルミ、クーちゃんはストーブの前から動きません。そんな真冬の日常をお届けします。

 

お正月の盛り花から 春の盛り花に変わる

 お寺のあちらこちらに花がいけられ、見る人の目をいやしてくれます。

 住職は高野山で華道も学んできました。ここでは音羽山観音寺流です。

 「お花を中心に正真(しょうしん)。その正真の部分を私は仏様と思っているの。だいたい花器の2~2.5倍くらいの高さに体(たい)。中ぐらいの位置に相(そう)。下の位置に用(ゆう)。二種類の木だったり一種類にしたり体相用(たいそうゆう)を三角形のかたちにするのよ」

 

(正月の盛り花)=春らしく松や梅で体胴用を表している。

 

(春の盛り花)=華やかな色花を中心に。

 体相用の木を探しに境内を歩きました。

 「若松、オモト、コウヤマキ、季節によってはギボウシだったり。今日はヤブサンザシにしようかしら」と木をザクザクと切っていきます。

 「出生(しゅっしょう)のままにいけるのよ」と、曲がった枝も切っていきました。

 

(ヤブサンザシ)=タロウの小屋があった場所。
ヤブサンザシを見て「この枝に決めた」と住職。

 花びんにヤブサンザシを入れていきます。曲がった枝は、花びんでグラグラ。「いい子で立っときや」と住職は話しかけます。

 「後ろの子(花と葉)と重ならないように、曲げるか切るかー」ハサミをチョキチョキしながら考えます。

 「こんなもんかな?」で終了。完成形はないのかもしれません。玄関に春を呼ぶ新しい盛り花となりました。

 

(製枝)=どこを切ろうか思案中。真剣なまなざし。

 

家の中何なりと飾る そこに花がある限り

 住職はお稽古に山を降りる時があります。「これからの季節なら、チューリップが格花かしら」

 玄関先に飾る花は正面から見て映えるようにいけてます。飾る場所によっては、三方から見て映えるようにいけることもあるそうです。花びんだけでなく、もちろん剣山も使います。

 玄関で一番目を引くのは、この新しい盛り花でなく菜の花とオモト。

 「年末にね。食べるつもりで菜の花を買ったの。ところが食べる機会がなくってね。気がついたら花が咲いちゃって。そのまま飾ったの」

 

(菜の花)=みごとな黄色の彩りが目立つ菜の花。

 オモトは葉だけでなく赤い実もついていました。

 「これだけきれいに実がそろっているのはめずらしいの。この実、植えると新しい芽が出るのよ」
 春にオモトの苗を作るつもりつもりかもしれません。

 お寺の冬は菊が主役の盛り花ばかり目にします。

 「菊をいけるの、もうあきたわ」

 雪で白くなった庭を眺めながら春を待ちわびているようでした。

 

 

 

【お知らせ】
2022年2月から音羽山観音寺は毎週火曜日を閉門します。拝観ができませんのでご了承ください。また電話も失礼します。お供え物は火曜日に到着しないように配慮をお願いします。また17日の御縁日が火曜日の時は開門、翌日18日が閉門になります。

※このページの内容は2022年2月4日現在のものです。

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