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農業が好き! 生産者の思い伝えます。

 ならリビングの人気コーナー「奈良のうまいもん」通販。主に商品の説明を書いていますが、そこには書ききれない生産者の思いがあります。そこで、今回3軒の農家を訪ね、それぞれの思いを語っていただきました。どこも農薬を減らしたり、無農薬で栽培することが当たり前と考えている農家ばかりです。さまざまな農家の思いとともに、通販商品も見ていただけることを願っています。

目次

奈良のいちごやさん【広陵町・田原本町】

古都華を極める

すずなりのイチゴと青木さん。

 

馬力のある苗を育て 味のあるイチゴ作り

 

 奈良のいちごやさんは古都華を専門に栽培する農家です。最近は奈乃華も加わったそうです。栽培面積は広陵町と田原本町、合わせて25アール。別に育苗用に5アールあります。
 「古都華が甘いのは当たり前。うちのは、あと味まで考えています。馬力のある苗を作り、香りとうま味を追及しました」というのは園主の青木健太郎さん。
 イベント出店すると50パックと10kg分が20分で完売。SNSで聞きつけた県外からの購入者がほとんどだったそうです。また有名パティシエからの要望、ミシュラン星獲得のレストランからの需要、ふるさと納税にも納めているので、直接畑に来ても買えません。
 古都華は生産者によって味が異なります。青木さんが作るイチゴを求めて、いろいろなバイヤーからの連絡がありますが、今は全部断っている状態が続いています。

 

 

極力薬を使わず虫の力を借りる 真っ赤で収穫やさしく出荷

 

苗の盛り上がりに注目。

 

 「肥料は他の農園さんが使っているのと同じですよ。でも苗を強く育てる技術は違います」と青木さん。
 イチゴを枯らすダニの天敵である3種類のダニを使って排除します。また害虫アザミウマの天敵、アカメを使って排除。ウドンコ病には紫外線を発生するUVBライトで対抗しています。ハチがイチゴの受粉を担当し、自然いっぱいのハウスでイチゴがすくすく育っています。真っ赤になった張りのあるイチゴしか収穫しません。それらを実を保護するゆりかーごに入れて販売します。
 取材時は5月下旬。ハウスに大きなイチゴがなっていました。6月にオープンするレストランからは青木さんの古都華を出してほしいという依頼があるそうです。苗が強くないとできないことです。
 「7月、学生に農業を教える機会があります。その時に古都華を持っていったら、驚くだろうなと思ってます。そこまで苗を残せるかな?何事もチャレンジです」と笑いながら話します。
 青木さんは非農家出身。今、就農を目指している若い人たちのために、親が非農家でも独立して就農できる仕組みをつくりだそうとしています。今後は若手育成にも力を入れていくつもりです。

 

 

●奈良のうまいもん通販で2月ごろに古都華を販売予定

梨の花プロジェクト RIKAEN【五條市】

大阿太高原の新名所

左、代表の中元さん。
右、総括の春名さん。

 

めぐりあい阿太夢 梨の文化を広める

 

 桜の時期の1週間後、大阿太高原を真っ白に染める梨の花。その一角に梨の花の文化を伝えるグループ、梨の花プロジェクトの活動拠点であるRIKAENがあります。

 

梨の花

 

 梨農園RIKAENは先代農園主の栽培継続が難しくなったため、梨の花プロジェクト委員会が農地を購入し、梨栽培を引き継ぎました。栽培園には銘柄の分からない梨の木があり、先々代の農園主が試験的に持ち込み栽培していたとのこと。成木は4本しかない希少梨です。同プロジェクトメンバーも驚くほど糖度の高い梨でした。
 この梨を阿太夢(あだむ=大阿太高原の夢)と命名し、接ぎ木で増やしながら、梨の実を販売。同プロジェクトの活動資金の一部に役立てています。

 

阿太夢=表面がごつごつ。
大きく重い。梨のサイズは重さになる。

 

消えゆく二十世紀梨 通常手間が数倍の梨

 

 青ナシの代表格、二十世紀梨。みずみずしい甘さと酸味、食感が人気の品種です。しかし、二十世紀梨は、赤ナシの幸水や豊水に押されて生産・出荷量が減少し続けています。理由のひとつに、病気に弱く手間がかかる品種であることが挙げられます。RIKAENの栽培品種の中心は二十世紀梨です。 
 「二十世紀梨の皮は薄いキューティクル質です。それだと果実の呼吸する穴から菌が入り込むため、梨自らコルクという成分を作って穴を塞いでいます。それが梨の特徴であるブツブツです。病気を防ぐため小さい実のうちに小袋掛けを行います。成長に伴い再び袋の上から大袋掛けをします。大袋は二重の袋なので、梨は計三重の袋で守られるのです」と統括の春名久雄さん。
 「青ナシはシャクッとした食感がよいと思っています。手間は赤ナシの数倍です。それでも残していきたい品種ですね」と代表の中元悦子さん。
 「プロジェクトでは梨栽培の体験学習を開催。剪定、摘果、袋掛けなど素人ができるようにプロが分かりやすい言葉にして技術を伝えています。作り手の苦労が分かり、梨に対する考え方も変わってくると期待しています」と春名さん。
 どんな種類の梨も樹上で完熟してから収穫を迎えます。鮮度がよいうちに食べるものです。また果実に「安かろう」、「おいしかろう」は、ないそうです。手間に見合う価格評価をしてもらうための情報発信も必要です。大阿太高原の赤土層を梨づくりの利点に変えてきた先人の努力と工夫。大阿太高原の二十世紀梨の価値をより多くの消費者に知ってもらいたいそうです。

 

 

●奈良のうまいもん通販で8月ごろ阿太夢を販売予定

堀内果実園・堀うち農園【五條市】

地元活性化を目指す

堀内俊孝さんと堀内奈穂子さん。
夫婦で毎年新しいことにチャレンジしている。
新しい直営店を増やす計画もあるらしい。

 

6代目園主が語る未来 地元の活性化を考える

 

 奈良、大阪、東京2店舗と合計4つの直営店を展開しているブランド名、堀内果実園。明治36年から続く堀内農園ですが、6代目の堀内俊孝さんになってから「堀内果実園」という社名になりました。堀内農園のころから、農薬をできるだけ少なくする特別栽培。昔から子どもに安全に食べてもらえるものづくりをしています。
 柿、カリン、梅からスタートした同園。今はスモモ、ブルーベリー、リンゴ、ミカン、レモンなど種類を広げ、さらに来季は古都華の栽培に着手する予定です。
 同園の加工場は、西吉野平沼田の中でも上の方にあります。
 「再来年くらいにはもっと低地で、畑も傾斜がゆるい場所に拠点を移そうと思っています。そこではオープンファームや工場見学、オープンキッチンでワークショップができる施設を構想。五條を活性化して地域おこしになればと考えているんです」と堀内俊孝さんは話します。

 

 

今年の推しは柿ワイン 糖度を考え実験農地も

 

「これおいしい。おすすめです」と2人が紹介する柿ワイン。

 

 今年、同園を含む近隣農家の富有柿を使った柿ワインができました。酒卸店の泉屋が近畿大学の技術支援を受けて、飛鳥ワインが製造したその名も「柿の音(かきのね)」。柿の風味を生かした口当たりが良いワインです。
 同園の直営店で販売できるように酒類販売業免許を取りました。限定数で販売です。
 またある場所で果実の改良実験として糖度を上げる方法に取り組んでいます。ただ糖度を上げ過ぎると、害虫が多くなり薬剤を多く使用することになるそうです。今は減農薬、低農薬、また農薬不使用で果実を育てている同園。どれくらいの糖度の果実を作り出したらよいのかが今後の課題なのだそうです。

 

 

●奈良のうまいもん通販で6月ごろに(2022年度は終了)南高梅、7月ごろにブルーベリー、12月ごろにあんぽ柿を販売予定

※このページの内容は2022年6月17日現在のものです。

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