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旧鶴林寺と鶴林寺(生駒市) 修験者の形跡 2度引っ越した寺

鬼取山鶴林寺

 生駒山は日本最古の霊場で、かつて修験者たちの修行の場とされていたことはあまり知られていない。その1つ鶴林寺は山頂付近にあったが、その後2度も場所を変えている。まずは707年に役行者(えんのぎょうじゃ)が開山したという最初の場所の鶴林寺を訪ねることにした。

 

 ケーブルで山頂を目指す。健脚な人はケーブル沿いの道でも可能。一気に登ってしまえば、あとは下りばかりである。遊園地の方は春まで休園。人に出会うことなく、静かである。まだ雪が残り風が冷たい。旧寺へ入る歩道の入口は、看板があり分かりやすかった。ここからは土の道、落ち葉を踏みしめながら下っていく。途中イノシシがエサを探して土を掘ったあとがいくつもある。自然の中にいる気持ちを高める。旧寺はさらに枝道に入る。

 

 生駒市の産業推進課商工観光係は、スニーカーで歩ける道だが、かなり寂しい場所だという。枝道から数100m、旧鶴林寺は今は寳山寺(ほうざんじ)といい、境内は小屋と石標、参拝所がある。ここで数人の参拝者と出会った。山道でいままで誰にも会わなかったので驚きである。

 

寶山寺(旧鶴林寺)

 石碑によると、開山わずか5年後、和銅3年(712年)に行基が薬師如来をご本尊とした鶴林寺の前身である生馬院を下流の有里(第二阪奈道路壱分インター付近)に建設。2度目の引越しは、平安時代初期に寺田用水を守る必要があることから上流に移し、水源獲得の役目もかねて、寺名も鬼取山鶴林寺と改称したそうだ。

 

 山道に戻り、今度は今の鶴林寺を目指す。直線だと700mしか離れていないようだが、歩くとまず宝山寺の方向に進み、宝山寺から暗峠へ進む。分岐点に必ず道標があるから迷うことはない。距離にして約3km。ずっと下り坂だ。

 

 今の鶴林寺は新しく美しい。時代背景があるようにとうてい思えない趣である。儀学、儀賢の2鬼を捕らえた役行者の活躍のことはこの寺に由来。鬼取の地名はこの場所に残っている。

 

 風が電車の音を運ぶ。段々畑のあぜ道をさらに下へと歩く。新興住宅が並ぶ約1270年後の現在へ戻ってきたようだ。(え)

アクセスマップ

地図

鶴林寺

生駒市鬼取町

※このページの内容は2008年5月16日現在のものです。

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