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漢方養生で日々健康~体質を知るともっと元気になれる~vol.51 「めまい」にお困りの方へ

 漢方理論をもとに女性の悩みに応えてきた一陽館薬局のかしたに陽子さんに、健康を保つ秘訣を聞く連載企画。51回目の今回のテーマは「めまい」。たまに起こるだけと放置されることも多いですが、体からのSOSかもしれません。

 

 

めまいにはいくつか種類があり原因も異なる

 季節の変わり目や寒暖差が大きい時期に相談が増える不調に、「めまい」があげられます。
 突然の回転感や立ちくらみに気分が悪くなったり、ひどくなると仕事や家事などにも支障をきたすなどの経験がある人も多いのではないでしょうか。いったん治まっても、何かをきっかけに再発するなど、その原因は一つとは限らずなかなか解決されない慢性的な悩みといえます。
 また近年では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)からの回復後に、めまいやふらつきを訴えるケースが増えていることも注目されています。
 
 めまいは、「目の前がぐるぐる回る」「立ち上がったときにふらっとする」「地面が揺れているような感覚がある」など、人によってその感じ方はさまざまです。実は、めまいにはいくつかの種類があり、それぞれ原因が異なります。

 最も多いとされるのが「良性発作性頭位めまい症(BPPV)」です。耳の中の内耳にある小さな石(耳石)がずれることで起こるもので、寝返りを打ったときや、頭を動かした瞬間にぐるぐるとした回転性のめまいが生じるのが特徴です。命にかかわるものではありませんが、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
 次によく知られているのが「メニエール病」です。内耳のリンパ液が過剰になることで引き起こされ、回転性のめまいに加えて耳鳴りや難聴をともなうことがあります。ストレスや睡眠不足、疲労が引き金になりやすいとされています。
 一方、「起立性低血圧」による立ちくらみは、急に立ち上がったときに血圧が一時的に下がることで脳への血流が不足して起こります。若い女性や高齢の人に多く見られます。
 このほか、脳や首の血管、自律神経の乱れが関係するめまいもあります。頭痛・手足のしびれ・言葉のもつれをともなう場合は、脳疾患の可能性もあるため、早めに医療機関を受診することが大切です。

 

治療法も原因によって異なるため専門医に相談を

 医学的な治療法は原因によって異なりますが、耳石によるめまいには頭位治療(頭の位置を変える体操)が有効なことがあります。メニエール病には利尿薬やストレスのコントロールが、自律神経の乱れには生活習慣の見直しや薬物療法が用いられます。
 さらに、新型コロナウイルス感染症の後遺症(罹患後症状)としてのめまいも、近年見過ごせない原因のひとつです。日本でもコロナ後遺症全体の中でめまい・ふらつきが起きた割合は3.9%で、倦怠感や集中力低下などの症状をともなうケースが多いといった報告もあります(※)。
 「感染が治まったはずなのに体がすっきりしない」と感じる人の中にはこのようなめまいが隠れていることもあります。メカニズムはまだ解明途中ですが、自律神経の乱れや内耳への影響が関係していると考えられており、気になる場合は後遺症外来や専門医への相談をおすすめします。

(※)埼玉県医師会症例集より引用

 

漢方では「水」の停滞や「気・血の不足」、「肝の高ぶり」ととらえる

 めまいを「体全体のバランスがどのように乱れているか」という視点からみると、漢方では「水(すい)」の停滞ととらえます。体の中の水分がうまく巡らず、頭部や内耳に余分な水分が溜まることでめまいや耳鳴りが起きると考えます。むくみやすい、胃がチャポチャポする、雨の日に不調が出やすいという人はこのタイプに当てはまります。
 また、「気・血(き・けつ)の不足」という観点から、過労や睡眠不足、食事の不規則さなどが重なると、体を動かすエネルギー(気)や栄養を全身に届ける血が足りなくなり、脳への栄養供給が滞ってめまいや立ちくらみが生じると考えます。顔色が悪い、疲れやすい、動悸があるという人はこのタイプであると考えられます。コロナ感染後に続く倦怠感やめまいも、漢方的には気・血の消耗によるものととらえることができます。
 さらに、「肝(かん)の高ぶり」による上昇性のめまいもあります。ストレスや感情の波、怒りや緊張が重なると、漢方でいう「肝」の働きが乱れ、気が頭部に上りやすくなります。頭がふわっとする、頭痛やのぼせをともなう、イライラしやすいという人はこのタイプに当てはまることがあります。

 

生活を整えてめまいになりにくい体に

 めまいは、日々の生活習慣と関係することも多いので、症状が出てから対処するだけでなく、「なりにくい体をつくる」という視点で生活を整えることが、長期的な予防にもつながることでしょう。

 

◎水分と塩分のバランスを整える
 水分を摂りすぎても少なすぎてもめまいの原因になることがあります。一日を通じて少量ずつ水分を補給することを心がけましょう。ただし、冷たい飲み物のがぶ飲みは体を冷やして「水」の巡りを悪くするため注意が必要です。メニエール病のある人は塩分の過剰摂取を控えることも大切です。

 

◎急な動作を避け、ゆっくり動く
 特に朝の起き上がりや、しゃがんだ体勢から立ち上がる動作は、ゆっくりと行いましょう。急な体位変換が耳石のずれや血圧の急落を招くことがあります。

 

◎睡眠と休息を大切にする
 睡眠不足や過労は、内耳のリンパバランスや自律神経を乱す大きな要因です。「少し疲れたな」と感じたときに無理をせず、早めに休む習慣が大切です。特にメニエール病は、疲れやストレスが引き金になりやすいため、休息は治療の一つともいえます。

 

◎体を冷やさない工夫を
 漢方的な観点から、体の冷えは「水」の停滞を招き、めまいにつながりやすくなります。特に首・肩・お腹を冷やさないよう意識しましょう。温かい食事、適度な入浴、腹巻きなどの冷え対策が有効です。

 

◎ストレスをためこまない
 自律神経の乱れや「肝の高ぶり」を防ぐためにも、日常の中でこまめに気持ちをほぐすことが大切です。深呼吸、軽いストレッチ、好きな音楽を聴くなど、自分なりのリセット方法を持っておくと安心です。

 

 めまいは「たまに起きるもの」と放置されることもありますが、体からのSOSであることも少なくありません。「最近めまいが増えた」「ふらつきが続く」と感じたら、早めに専門家に相談することをおすすめします。
 自身の体の声に耳を傾け、生活習慣の見直しや無理し過ぎていないかなど、日ごろからのケアを心がけることで、めまいが起こりにくい体をつくっていきましょう。

※このページの内容は2026年3月20日現在のものです。

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