花の谷から 風と土のたより
ワクワクを伝えたい~庭づくりのヒントを提案
みなさんこんにちは。花工房花夢花夢の吉村雅代です。奈良県明日香村の花の谷オールドヴィレッジから、物語のある景色作りを発信していますヨーロッパカントリーサイド路地裏風のスタイルでオープンガーデンと作品展をすること22年。オールドヴィレッジを作りはじめて7年。庭の景色は少しずつ今も進化し続けています。
花の谷オールドヴィレッジは私の心の中にあった憧れを形にしたものです。27歳でガーデニングに目覚め、何だかわからない自分の中にある美しいものに対する憧れを追い求めて34年の月日が経ちました。
もっともっとワクワクしたい、このワクワクを伝えたい。そこから生まれる喜びを分かち合いたい。それがみなさんの心にある憧れを形にするお手伝いになればこんな楽しいことはないと思ってモルタルガーデンスクールを立ち上げました。そして、共感してくださる皆さんのおかげで、ワクワクはどんどん形になり、憧れは現実になりました。物語は終わりません。
この連載では、私の庭に対する考え方や、物語の作り方、その庭をどう管理してどう使うかなど、徒然に書き記そうと思います。少しでもみなさんの、庭づくりのヒントになればと願いつつ。
第1回「夏の終わりにしておくといい秋の準備」
コオロギの声がどこかで鳴いて、ひぐらしの音がかすかに残る夕暮れ。セミの声がふっと止んだのに気づいたとき、人は「あれ?」と思います。けれど、空気はまだ熱く、草はぐったり、秋の姿はまだはっきりとは見えません。
でも、秋に向けて、実は庭にとって大切なタイミングです。今こそ、秋花壇を美しく茂らせ、咲かせる最後のチャンスなのです。
一年草のマリーゴールドやジニア。夏に傷んだ花壇も、今、補植をすればぐんぐん茂り、秋遅くまで見事に花を咲かせてくれます。
気温が下がりきってしまうと、もう成長は止まってしまうから――
「まだ秋が来る前」に、そっと仕込む。
それがコツです。
宿根草も同じです。
セージなど、もうひと伸びしてほしい植物には、丈を整えるような切り戻しを。ただし、フジバカマなどの秋咲き宿根草は、今の時期に強く切ると咲かなくなってしまうことも。
枝数を減らす「間引き剪定」で、ボリュームを整えるのが安全です。
庭は、ただ手入れをする場所ではありません。色あせた場所に花を添えることも、夏を見送る準備も、秋の美しい景色を想像する楽しい作業なのです。
秋はまだ姿を見せないけれど、今のあなたの一手が、来る季節の“ワンシーン”を彩ってくれるのです。
※このページの内容は2025年9月11日現在のものです。