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漢方養生で日々健康~体質を知るともっと元気になれる~vol.54 「起立性調節障害」にお悩みの方へ

 漢方理論をもとに女性の悩みに応えてきた一陽館薬局のかしたに陽子さんに、健康を保つ秘訣を聞く連載企画。今回のテーマは「起立性調節障害」。最近耳にすることも増えた、思春期に多いといわれるこの症状についてのお話です。

 

思春期に多くみられる症状

 「朝になると起きられない」
 「立ち上がると気分が悪い」
 「学校へ行こうとすると頭痛や吐き気が出る」
 このような症状で悩まれているお子さまやご家族は少なくないようです。

 一見すると「怠けている」「気持ちの問題」と誤解されることもありますが、起立性調節障害(OD:Orthostatic Dysregulation)は、自律神経の働きが乱れることで起こる身体の不調です。
 特に思春期に多くみられ、小学生の約5%、中学生では約10%に症状がみられるともいわれています。重症化すると、学校生活や日常生活に大きな影響を与え、不登校につながることもあります。

 

 

起立性調節障害とは?

 人は立ち上がると、重力によって血液が下半身へ移動します。通常は自律神経が働き、血管や心拍を調整して脳への血流を保っています。
 しかし、起立性調節障害ではこの調整機能がうまく働かず、立ち上がった際に脳血流が不安定になることで、さまざまな症状が現れるのです。
 思春期に多い理由としては、急激な成長やホルモン変化に対して、自律神経の調整が追いつきにくくなることが関係しています。

 

 

どのような症状がみられるの?

 代表的な症状には、

・朝起きられない
・立ちくらみ、めまい
・頭痛
・動悸
・吐き気
・倦怠感
・食欲低下
・集中力低下
・失神しそうになる
・午後になると少し楽になる

などがあります。
 特に特徴的なのは、「午前中に症状が強く、午後から軽くなる」という点です。夜になると元気になり、寝つけなくなることで、昼夜逆転へ進んでしまうケースもあります。

 また、
・急に立ち上がった時
・睡眠不足
・ストレスや疲労
・気圧や天候の変化
・暑い時期
などで悪化しやすい傾向があります。

 

 

なぜ起こるの?

 起立性調節障害は、単純な低血圧ではなく、「自律神経による循環調整の乱れ」が関係しています。
 さらに、
・水分不足
・活動量低下による筋力低下
・ストレス
・睡眠リズムの乱れ
などが重なることで悪化しやすくなります。
 運動不足が続くと、下半身に血液がたまりやすくなり、脳への血流がさらに低下しやすくなる悪循環もみられます。

 

 

医学的にはどのように診断されるの?

 診断では、症状の経過を確認しながら、起立時の血圧や脈拍変化を調べる「新起立試験」などが行われ、代表的なタイプには、起立直後性低血圧、体位性頻脈症候群(POTS)、血管迷走神経性失神などがあります。
 また、貧血、甲状腺疾患、心疾患、睡眠障害など、似た症状を示す病気が隠れていないか確認することも重要です。

 

 

「気持ちの問題」ではない

 起立性調節障害のお子さまは、「起きたいのに起きられない」「頑張りたいのに身体が動かない」という状態で苦しんでいるかもしれないという点も見過ごしてはならないでしょう。
 周囲から理解されず、「怠けている」と責められることが強いストレスとなり、自律神経の乱れをさらに悪化させる場合もあります。
 そのため、本人だけでなく、ご家族や学校側の理解とサポートがとても大切になります。

 

 

治療と改善の基本

 治療では、まず生活調整を中心とした「非薬物療法」が優先されます。

 

< 日常生活で大切なこと>
・朝はゆっくり起き上がる
・十分な水分摂取
・適度な塩分摂取
・長時間立ち続けない
・軽い運動を継続する

 特に下半身の筋力低下は症状悪化につながるため、ウォーキングなど無理のない運動習慣が役立つと考えられています。
 症状が強い場合には、昇圧剤や脈拍を調整する薬などが用いられることもあります。
 また、「起立性調節障害」という病名だけでなく、漢方で体質的な要因から整えることで無理なく心身の調和をはかる手助けもできるかもしれません。
 漢方では、「起立性調節障害にはこの漢方」と一律に決めるのではなく、
・食欲低下が強いタイプ
・不安感が強いタイプ
・頭痛が目立つタイプ
・冷えが強いタイプ
などによって、体質に合わせて処方を選ぶことが大切です。

 

 

焦らず、少しずつ整えていくことが大切

 起立性調節障害は、周囲に理解されにくい不調のひとつといえるでしょう。
 しかし、適切な生活調整や医療的サポート、体質改善によって、少しずつ安定していく方も多くおられます。
 まずは「身体の調整機能がうまく働きにくい状態」として理解し、無理を重ねすぎないことが大切です。
 一人で抱え込まず、必要に応じて専門家へ相談しながら、体の声に耳を傾け、丁寧に整えていきましょう。

※このページの内容は2026年6月19日現在のものです。

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