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漢方養生で日々健康~体質を知るともっと元気になれる~vol.55 「肩こり」にお悩みの方へ

 漢方理論をもとに女性の悩みに応えてきた一陽館薬局のかしたに陽子さんに、健康を保つ秘訣を聞く連載企画。今回のテーマは身近な悩みである「肩こり」です。慢性的に抱えている人も多いのではないでしょうか。

 

肩こりは多くの人が経験する身近な症状

 肩こりは多くの方が経験する身近な症状のわりに、根本的な改善策となると難しく、慢性的に"コリ"を抱えてお過ごしの方もおられるのではないでしょうか。
 「肩が重い」「首が張る」など、もみほぐしてもすぐ元に戻ってしまうので、あきらめて放置してしたり、ごまかしながらやり過ごしているという声も聞かれます。
 肩こりが解消しづらい理由として、実際には、筋肉だけの問題ではなく、姿勢や血流、自律神経、目の疲れ、ストレスなど、さまざまな要因が複雑に関係しているためだと考えられます。

 

 

肩こりはなぜ起こるのか?

 肩こりの多くは、首から肩、背中にかけての筋肉が緊張し続けることで起こります。
筋肉は長時間同じ姿勢が続くと硬くなり、血流が低下します。すると酸素や栄養が届きにくくなり、"疲労物質"が蓄積して痛みや重だるさを感じるようになります。
 さらに、スマートフォンやパソコンを長時間見続ける生活では、頭が前へ出る姿勢になりやすく、本来5kg前後ある頭を、首や肩の筋肉だけで支える時間が長くなります。その負担が慢性的な肩こりにつながります。
 また、精神的なストレスや睡眠不足は交感神経を優位にし、筋肉の緊張を強めるため、肩こりを悪化させる要因にもなっています。

 

 

肩こりにもタイプがある

●筋肉疲労型
 デスクワークや家事、育児などで同じ姿勢が続く方に多くみられます。肩が重く、動かすと少し楽になるのが特徴です。

●血流低下型
 冷え性の方や運動不足の方に多く、肩だけでなく首や背中まで重苦しく感じます。寒い季節や冷房でも悪化しやすくなります。

●眼精疲労型 
 細かな作業やスマートフォンの使用時間が長い方では、肩こりに加えて目の疲れや頭痛を伴うことがあります。
●ストレス型
 精神的な緊張が続くと筋肉が無意識にこわばります。朝から肩が硬い、寝ても改善しないという方に多くみられます。

 

 肩こりの原因やタイプをみると肩だけの問題ではなく、同時にさまざまな不調を伴うことも理解できます。
 頭痛や首の痛みといった肩の周囲だけでなく、めまい・耳鳴り・手や腕のしびれといった血流の悪化によるものや、吐き気・集中力の低下・睡眠の質の低下・疲れやすさなどの症状も、肩こりが全身の不調につながっている可能性が考えられます。

 

 

放置しないほうがよい肩こりもある

 多くは筋肉由来ですが、中には注意が必要なケースもあります。
 安静にしていても強い痛みが続く場合、腕のしびれや力が入りにくい場合、発熱を伴う場合、突然これまでにない激しい痛みが現れた場合は、頸椎の病気や神経障害、心臓や血管の病気などが隠れていることもあるため、医療機関での診察も検討しましょう。

 医学的には、肩こりの治療は、筋肉由来であれば、姿勢の改善、ストレッチ、適度な運動、温熱療法などが基本になります。
 必要に応じて、消炎鎮痛薬や湿布、筋弛緩薬、理学療法などが行われます。しびれや神経症状がある場合には画像検査も行われます。

 また、肩こりとその関連症状に対して、「なぜ肩がこるのか」を体質から考える場合は、漢方も効果的です。
 血流が滞りやすい瘀血(おけつ)、水分代謝の乱れによる水滞(すいたい)、疲労や冷えによる気血不足など、それぞれ原因は異なります。
 同じ肩こりでも、冷える方と熱っぽい方、疲れやすい方とストレスが強い方では選ぶ漢方薬も変わりますので、全身の状態も考慮のうえ適した処方を選ぶことが改善のポイントです。

 

 

今日からできる予防法

 肩こりは「肩を回すこと」だけではなかなか解決されない症状かもしれませんが、無理せずできることから毎日少しずつでも意識することで予防していきましょう。

 

・30~60分に一度は立ち上がり、数分歩く
・深呼吸を意識して胸郭を広げる
・お腹で呼吸する腹式呼吸を取り入れる
・長時間のスマートフォン操作を減らす
・就寝前は首元を温め、体を緊張状態から切り替える
・下半身の筋力を維持するために歩く習慣をつける

 

 肩は全身の姿勢や血流、自律神経の影響を受けています。
 そのため、肩だけをもみ続けるよりも、体全体のバランスを整えることが、慢性的な肩こりの改善につながります。
 たかが「肩こり」されど「肩こり」。
 "いつものこと"と我慢せず、体の声として早めに対策を始めることが、頭痛や睡眠障害などの二次的な不調を防ぐ第一歩になることでしょう。

※このページの内容は2026年7月17日現在のものです。

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