奈良カエデの郷ひらら(宇陀市) ノスタルジックな校舎跡に 世界のカエデ集まる郷

取材で出会った宇陀市菟田野の人から、今年の春、近くに「メイプルパーク」ができると聞いていた。どんな場所だろうかと、想像を膨らませて訪ねてみた。
あいにくの雨。まず目に入ってきたのは懐かしさを感じずにはいられない木造校舎。その前に色とりどりのさまざまな種類の木が一面に植えられている様子がえた。すべてカエデだという。
1200種3000本のカエデが元運動場跡に植えられ、環境にデリケートな種類のカエデはハウス内で栽培されている。葉の形も色もさまざま、しかしカエデである。
「日本でもこれだけの種類のカエデがある場所はない」と話すのは、NPO法人宇陀カエデの郷づくり顧問の矢野正善さん(78)。元々このカエデは、矢野さんが奈良市の自宅で世界中から集めて育てていたものを、旧菟田野町に寄贈したことがきっかけだそう。市町村合併などを経て、現在宇陀市が管理する施設として、今年4月にオープンしたそうだ。

建物は平成18年まで実際に使われていた旧宇太小学校跡。私自身は映画やドラマの中でしか見たことがないようなレトロな木造校舎だが、なぜか懐かしさを感じる。NHK朝の連続ドラマで撮影に使われたこともあるそうだ。「ろう下を走るな」と書かれた吊り看板や、卒業制作らしき絵が、何とも言えない存在感で迎えてくれる。卒業生も訪れ、懐かしいと話しているらしい。傘立てがそのまま残っており、そこに自分の名前を見つけた人もいるそうだ。

カエデは紅葉の時期のものと思いがちだが、矢野さんによると春には色づいて美しい景色を見せてくれるという。年に2回楽しめるということだ。これから校舎の2階に上がれるように整備したり、教室でさまざまな体験ができるように、また裏山も使って散策路を作るなど、夢は広がる。
季節ごとに違う顔を見せてくれるであろうカエデに、また会いに来たいと思った。(久)
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※このページの内容は2013年10月18日現在のものです。