漢方養生で日々健康~体質を知るともっと元気になれる~vol.2「抜け毛」にお悩みの方へ
漢方理論をもとに、多くの女性の相談に応えてきた一陽館薬局のかしたに陽子さんに、健康を保つ秘訣を聞く連載企画。今回は「抜け毛」の悩みについてです。
髪のケアは外からだけでなく体の内面を整えることも大切
「最近、髪が抜ける……」「季節のせい?ホルモンバランスのせい?年齢のせい?」
髪のトラブルは性別や年齢を問わず多くの人が抱える身近な悩みですが、気になりながら具体的な対策を取らずにやり過ごしている方も多いことと思います。
実は、外からのケアだけでなく、身体の内面を整えることも大切なのです。
漢方では、「髪」は「血余(けつよ)」といって、体質的な「血」の状態を表すとされます。
髪の状態は、血が十分に足りて体内をスムーズに巡っている表れでもあるのです。
血の貯蔵庫である「肝」はストレスなどで負担がかかりやすく、不足や循環不良を招いて髪への栄養も滞ってしまいます。 また、生命力の源である「腎」(腎臓)のエネルギーの充実により丈夫な髪が育つことから「腎の華」ともいわれています。
抜け毛の要因主な3つのタイプ
抜け毛の要因として、主に3つのタイプについて解説します。
①血の量が足りない=「血虚」
髪の栄養分の不足は、コシがない、抜けやすいなどにつながりやすく、いわゆる「血液不足」タイプで、立ちくらみや寒がりで疲労感が抜けず、経血の色は薄く、貧血傾向も見られます。
極端なダイエットなども要注意です。
食材では、髪に栄養と潤いを与える「血」を補う作用がある、なつめ、きくらげ、ほうれん草、にんじんなどもおすすめです。
②ストレス=「肝虚」
血を貯蔵し、全身に送る役割を担う「肝」は、過度なストレスを受けるとその働きが低下します。血の流れが滞り、栄養や潤いがしっかりと行き届かなくなってしまうのです。 抜け毛のほか、気分的にも憂鬱やイライラ、頭痛や生理痛、PMS(月経前症候群)も起こりやすいタイプです。
食材では、気・血の流れスムーズにする香りの良いお茶やハーブがおすすめです。
③生み出す力が弱い=「腎虚」
年齢とともに薄毛になる、出産後に大量に抜けるなどは、血液や骨など生命維持に必要な力や、妊娠出産など生殖に関わる「生み出す力」が不足して、いわゆる精力としての体力不足のタイプといえます。
食材では、くるみ、カシューナッツ、松の実、黒豆、黒ごま、山芋など、腎を補うとともに肝の働きも整えるものがおすすめです。
髪の状態は心と体の内面の調子の表れともいえます。
バランスのとれた食事や適度な運動を心がける、睡眠をしっかり取る、といった基本的な生活習慣を整えることも大切なことです。
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体質を知るだけでなく、見合った漢方や養生を取り入れて、体調を整えて快適な健康生活を送りたいものです。
※このページの内容は2022年2月18日現在のものです。