奈良県知事公舎跡に最高級ホテルがオープン
奈良県庁の東隣にある元奈良県知事公舎跡に、「紫翠 ラグジュアリーコレクションホテル 奈良」が8月29日にオープン。それに先駆けて報道関係者向けの内覧会があり、ひと足先にその非日常な空間を見てきました。
大正11年建造の知事公舎をリノベーション
県庁東側の信号を依水園に向かって渡ると、右手に知事公舎の門が。こちらがホテルの入り口。門の上には知事公舎時代からある「OFFICIAL RESIDENCE OF THE GOVERNOR」と刻まれた表札も残されていました。
門を入って、知事公舎をリノベーションしたホテルメイン棟に。大正11年に建造された建物で、趣はそのままに残されています。
奈良の食文化や伝統に時の流れを感じる料理を
宿泊者はもちろん、食事だけでも利用できるというレストラン「翠葉(すいよう)」は知事公舎の客間を修復した空間。庭園を見渡せる店内で「古都奈良の食文化、伝統と時の流れを感じることができるガストロノミージャーニー」を提供するとのこと。飛鳥鍋をパイ包みにした料理など、ホテルのコンセプトでもある「伝統と現代の結び」を表現するような料理を提供します。朝食5692円~、昼食7337円~、夕食2万2770円(各税サ込)。半個室や、プライベートルーム「紫檀」も用意されています。
また、知事公舎の蔵を利用した鮨&バー「正倉」では、同じ食材を異なる料理に仕上げるなど、ほかにはないコース料理を用意しているとのことです。
歴史感じさせる「認証の間」も
ホテルメイン棟の玄関に戻り、レストランと反対側は宿泊者のスペースに。その突き当りにあるのが、昭和天皇がサンフランシスコ講和条約の批准書に署名されたという「認証の間」で、当時のままに残されていました。その隣のゲストルームは、その「認証の間」の照明やじゅうたんを模した雰囲気で、宿泊者の待合として利用されるとのことです。
「認証の間」は見るだけで入ることはできません。
客室はそれぞれ異なる風景を楽しめる造りに
一度屋外に出て、公道を挟んだ先にある別棟に移動。「花鹿」「鳳凰」という2つの宿泊棟と、宿泊者専用の天然温泉露天風呂もあるプライベートスパがあり、特別な時間を過ごせる空間となっています。
客室はスタンダードからスイートまで全43室。そのうちデラックスとスイートタイプの23室には温泉風呂または温泉露天風呂も設けられています。部屋から見える景色は部屋ごとに異なるように作られており、1階と2階でもまったく違う風景が楽しめます。部屋には奈良県産の地ビールや紅茶が置かれ、随所に奈良を感じられる演出も取り入れられています。
茶寮「世世」では気軽にカフェメニューも提供
宿泊棟を出て、さらに庭園を進むと、室町時代に建立された旧興福寺子院「世尊院」を改修したという建物があり、こちらも茶寮「世世」として同時オープンされます。歩くと音が鳴るうぐいす張りの廊下など、メイン棟とはまた違った趣もあり、スパイス料理や御膳など、食事は3000円から提供されるとのこと。カフェとして気軽に利用できそうです。
☆ ☆ ☆
奈良には宿泊施設が少なく、旅行者も奈良は日帰りで通り過ぎるという話も聞きます。今回できるホテルは、県庁の真隣とは思えないほど緑にあふれ、ぜいたくな風景がレストランや客室からも見ることができ、非日常の空間に。この立地でこの風景はなかなか貴重ではないでしょうか。国内外から多くの旅行者が奈良に来て、奈良の魅力を感じてもらえることを願いたいものです。
※このページの内容は2023年8月29日現在のものです。