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漢方養生で日々健康~体質を知るともっと元気になれる~vol.14「花粉症」にお悩みの方へ

 漢方理論をもとに女性の悩みに答えてきた一陽館薬局のかしたに陽子さんに、健康を保つ秘訣を聞く連載企画。今回はそろそろ辛い時期に入っている、「花粉症」にお悩みの方に読んでいただきたいお話です。

 

 

花粉症が悪化しやすい体質は

 

 現代病ともいわれる「花粉症」ですが、春風に舞うスギ・ヒノキの花粉の飛散量の問題だけでなく、ベースに日常生活の不摂生、過労、ストレスなども要因となって発症率に影響していると指摘されています。
 症状を抑える薬や治療でコントロールできている時は気にならなくても、同じ方法では対処できなくなってきたり、妊娠中の方や小児など慎重に対処したい場合は、生活や体質を見直すことでその方に合った対処法を見つけることができるかもしれません。
 同じ環境にいても、アレルギー症状の出方は個人差がありますが、この差がどこからくるのかについて漢方的視点からご紹介します。

 

「邪気を排除する力」=「正気のバランスの差」が症状の度合いに影響

 

 花粉などの主な侵入経路である鼻は「肺の竅(きょう)」(肺の出入り口)の役割を果たしており、花粉や異物などの邪気を吸い込むことで体内に侵入しやすくなっています。
 「邪気」とは、病気の原因となる有害なものを意味します。
 侵入した邪気を排除するために、くしゃみ・鼻水のような症状が表れますが、この免疫機能を漢方では「正気(せいき)」といい、健康を保つバランス調整を行っています。その働きが不足すると、しっかりと邪気を排出することができないため、肺の働きが弱り、水分代謝に影響し、鼻水が止まらない・鼻づまり・たんが出るなどの症状に進行してしまうと考えられています。
 この「邪気を排除する力」=「正気のバランスの差」が症状の度合いに反映されるのです。

 

 

花粉症が悪化しやすい人は「気虚」タイプ

 

 では、花粉症が悪化しやすい体質にはどのような傾向があるのでしょうか。
 花粉症の主な症状は、水分代謝の乱れからくるもの(はなみず、たん、鼻づまりなど)と肺気の不足によるもの(くしゃみ、のどの炎症、皮膚のかゆみなど)がありますが、水分代謝を担う臓腑として、「肺」の他にも「脾胃(=胃腸)」や「腎」があり、慢性的な疲労の蓄積や食生活の乱れ、睡眠不足、ストレスなどが続くと「気」を消耗し抵抗力も弱ってしまいます。
 花粉症が悪化しやすい人は基本的に「気」が不足している「気虚(ききょ)」タイプといえます。
 「気虚」体質は、侵入した邪気を排除する力だけでなく、からだ本体を防御する力も不足しやすいため、寒暖差の影響で体調をくずしたり風邪などがうつりやすいという性質も共通して見受けられます。

 

①初期段階:花粉症が出やすいタイプにみられる特徴

 

【日常の体調で気になること】
胃腸が弱い、軟便・下痢しやすい、寒暖差や季節の変わり目に不調、かぜをひきやすい、すぐ息切れする、暑くなくても汗をかく、顔色が良くない、鼻がむず痒い、よくくしゃみをする、水っぽい鼻水が出るなど

 

【おすすめの食材】
芋類や緑黄色野菜は「気」を補い、きのこ類は「抵抗力」を養い、豆や肉は「体力」を充実することが期待できます。

 

②慢性的な花粉症:症状が進行しているときの特徴

 

 慢性的な花粉症になると鼻水が多量に出て体内の水分が不足してくるため、潤い不足で乾燥したり炎症を鎮める働きが弱くなることによる不調がみられます。

 

【日常の体調で気になること】
鼻水が出るし詰まる、目の痒みや充血、口や喉の渇き、口角が切れる、じんましんが出る、皮膚がカサカサしてかゆいなど

 

【おすすめの食材】
粘りのあるとろろ芋や百合根や蓮根などは保湿力アップに、トマト、きゅうり、梨など水分が多いものは水分補給とともに炎症を鎮めることが期待できます。

 

③急性期の花粉症:急にひどい症状が出るときの特徴

 

 風邪と同様にタイプにより対処することが大切です。

 

《体の冷えが要因となるタイプ》
 冷えると調子が悪くなることにありますので、しょうがやねぎ、シナモンなど胃腸から温めるものを取り入れ、冷えをため込まない生活を心がけましょう。

 

【起こりやすい症状】
寒がり、冷え性、起床時にくしゃみが止まらない、就寝時も鼻水が止まらない、下痢しやすい、足首が冷えて痛い、涙が出る、目や鼻やのどがむず痒い

 

《温めると悪化するタイプ》
 体の中に熱がこもりやすく、その熱により体が乾きやすくなり炎症の要因となるため、暖め過ぎや香辛料など発汗性の刺激物は逆効果になることがあります。水分を多く含むものや涼性の野菜などでのぼせやほてりを鎮めるように調整することがポイントです。

 

【起こりやすい症状】
顔が熱くなる、口や喉が渇く、便秘傾向、目が充血、慢性的に鼻づまり、じんましん、目も鼻も喉も耳も皮膚もかゆみが強い

 

 ☆ ☆ ☆


 おすすめの食養生は一般的なものとして挙げていますので、個々人の体質を総合的にみて判断することが必要です。

 花粉症シーズンを乗り切る生活習慣として、適度な運動、規則正しい食生活と十分な睡眠で免疫力を保ち、忙しすぎたりストレスなどで気力体力を消耗しすぎないことも大切です。

※このページの内容は2023年2月17日現在のものです。

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