漢方養生で日々健康~体質を知るともっと元気になれる~vol.28「自律神経不調で休めない」悩みのある方へ
漢方理論をもとに女性の悩みに応えてきた一陽館薬局のかしたに陽子さんに、健康を保つ秘訣を聞く連載企画。今回は自律神経の不調で休めないという悩みを持つ方に読んでいただきたいお話です。
自分の意思と無関係に働き続ける自律神経
「自律神経の乱れ」「バランスを整える」「自律神経失調症」など、身近に聞く機会も多いのではないでしょうか。
精神面や感情の起伏、お腹や頭が痛い、体温調節や汗、睡眠リズムなどあらゆる分野に関係しているため、人によって感じられる不調もさまざまです。
女性の場合はホルモンバランスの動きに合わせて、PMSなど周期的にバランスの乱れを生じる場合もあります。
自律神経は自分の意思で動かすことができない働きを担っており、呼吸や体温、血圧、心拍、消化、代謝、排尿・排便など、生きていく上で欠かせない生命活動を維持するために、自律的に24時間365日、休むことなく意思とは無関係に働き続けています。
そして、体を最適な状態に保つために、ストレスや環境の変化などに応じて微調整をしています。
交感神経と副交感神経のバランスを
今回は「上手な休みかた」について考えてみたいと思います。
自律神経は、活動するときに働く「交感神経」と休息やリラックスしているときに働く「副交感神経」に分けられます。臓器も交感神経と副交感神経の支配により交感神経がアクセル、副交感神経がブレーキの役割を果たしてバランスをとって機能しています。
自律神経は1日の中で時間帯によって変化しています。朝起きて仕事や学校などで活動する日中の時間帯は交感神経が優位に働き、夜の時間帯には休息や睡眠に向かうため副交感神経が優位になります。
規則正しいリズムによって健康的な毎日を支えているのです。
規則正しいリズムが維持されていれば体調も安定するのですが、夜更かしや起床時間がまちまち、食事の時間がバラバラだったりストレスが多いと、自律神経のバランスの乱れにつながります。
ストレスをため込まないこと
仕事に追われて常にストレスを抱えていると、交感神経が過度に働きアクセルを強く踏み込んだ状態になり、緊張し過ぎたり、イライラしやすくなります。交感神経が過剰な分、副交感神経の働きも抑えられるため、睡眠の質の低下や胃腸の働きの弱りから疲れの回復も不十分になり、さまざまな不調が現れるようになるのです。
「しっかり休む」には副交感神経がしっかりと働くことが大切です。
副交感神経の働きが優位になるということは、交感神経の働きが過剰になり過ぎないことが大切で、ストレスをため込まないことが大切なポイントになりますが、自然にリラックスモードに切り替わるというのは忙しい現代社会では難しいことかもしれません。
副交感神経の弱りを招く生活習慣
☑不規則な生活リズム
☑睡眠不足
☑長時間座りっぱなし
☑栄養バランスの悪い食事
この状態が長く続くと自律神経のバランスが乱れて心身の不調につながります。
ストレッチや半身浴、散歩や好きなことをしてリラックスするように心がけましょう。
ゆっくり呼吸し時間と心に余裕を持って
具合が悪いと思って病院で検査を受けても異常がない、治療を受けるほどの病気でもない、という場合は漢方薬を試してみるのもひとつです。
漢方で「交感神経」「副交感神経」に相当するものに「陽」と「陰」があります。
副交感神経のパワー不足を「陰気虚」といって、「陽気」が強すぎることが原因とは限らず、「陰気」の不足によって、興奮や緊張で休まらないのではなく、元気もなく疲れも抜けず、しかも休養もとれなかったりする場合があります。
☑すぐ疲れる
☑やる気が出ない
☑頭痛、肩こり、腰痛
☑気分が滅入りがち
☑集中できない
☑便秘や下痢ぎみ
☑よく眠れない
☑よく風邪をひく
☑朝すっきり起きられない
漢方薬では、補気作用や補陰作用、また陰気を生み出す補腎作用をもつ処方を中心に、体質やお困りの不調に応じて処方を選定します。
食べ物では、食物繊維の多いもの、発酵食品、すっぱいもの、ココアやほうじ茶などもおすすめです。
寒暖差や気圧、湿度などの気象変化、コロナ感染や社会不安などストレスを感じる機会が多く、自律神経もフル稼働の日々ですが、ゆっくり呼吸をしたり、1日の過ごし方を整理したり、時間や心に余裕をもって過ごしたいものです。
※このページの内容は2024年4月19日現在のものです。