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認知症とともに歩む 認知症対応型デイサービスの取り組み~学習療法®とは~

 通所介護であるデイサービスの中に、認知症に特化した認知症対応型のデイサービスがあります。認知症の人に求められる対応は個人によって違うため、その人ごとに合わせたプログラムを施設ごとに工夫をこらして行っています。奈良県中南和エリアを対象に、介護付有料老人ホームやグループホーム、デイサービスを運営しているベルライフグループの認知症対応型デイサービスベルライフ築山(大和高田市)では、昨年秋から学習療法®を取り入れています。その様子を取材しました。

 

コミュニケーションを取ることが大事

 難しいことを考えている時より、簡単な計算や音読をしたり、コミュニケーションを取っている時やほめられている時の方が脳の血流が増し、脳機能が活性化することが研究の結果、分かってきています。学習療法®とは、読み書きや計算を、コミュニケーションを取りながら行うことで、脳の活性化を促して認知症の予防や改善を図る、KUMONが開発した非薬物療法です。
 実施するのは、学習療法実践士という資格を持つ職員で、職員1人に対し利用者は2人まで。コミュニケーションを取りながら進めます。まず、個別にテストを行ってその人にあったレベルの教材を提供します。プログラムは音読、計算、数字盤の3つで約20分~30分かけて実施します。

 

できるできないではなく笑顔になること

 毎回、脳の図を見せながら「この部分が活性化しますよ」と伝えてこれから行う教材の意図を理解してもらいます。

 

 

 この日はまず音読から。内容は昔懐かしさを感じさせるような短い文章です。単に読んでもらうだけでなく、「梅は咲いていましたか?」「ホタルは見たことありますか?」「ツバメの巣を見たことはありますか?」と、出てきた言葉から話を広げます。終わると、プリントに職員は大きく丸を付けて、100点と記入します。

 

 

 計算も声に出して行い、同様に最後は大きな丸と100点。数字盤は決まった位置に数字を並べる作業で、片付けまで行います。タイムを測りますが、大切なことはできるできないではなく達成感を感じ、自信をつけてもらうこと。ほめてもらったり、思い出話などが出ることで笑顔になってもらうことです。

 

 

 1回20分程度のプログラムですが、この日の利用者からは「もう終わり?」という声も聞かれました。

 

 

地域に開かれた催しも

 まだ昨年末に始まったばかりですが、排泄介助を必要としている利用者が自分から立ち上がってトイレに行こうとするなど、前向きになっている様子も見られたそうです。また、職員も20分という時間を利用者とじっくり向き合ってコミュニケーションを取ることで、いつも以上に利用者の様子に気付くことができると言います。
 「認知症の進行を少しでも遅らせたり、本人にとって有意義な時間を過ごしてほしい」と同施設ホーム長の藪野洋平さん。認知症という名前がつく施設はハードルが高く感じられがちですが、認知症カフェなど、地域の人も参加できる催しも行っていきたいと話しています。

 

【メモ】
認知症対応型デイサービスベルライフ築山
大和高田市築山696番地
TEL0745・21・0021

※このページの内容は2024年4月26日現在のものです。

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