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漢方養生で日々健康~体質を知るともっと元気になれる~vol.20「不眠」にお悩みの方へ

 漢方理論をもとに女性の悩みに応えてきた一陽館薬局のかしたに陽子さんに、健康を保つ秘訣を聞く連載企画。今回はなかなか他人には理解されにくい悩みのひとつである「不眠」についてのお話です。

 

 

「不眠」の原因は人それぞれ

 「眠れない」つらさは、なかなか他人には理解されにくい悩みのひとつですが、どのように「眠れない」のかは、その人によってさまざまです。
 眠ろうとしてもささいなことが気になってなかなか寝つけない、寝つきは悪くないが途中で何度も目が覚める、時間的には眠っているのにスッキリ起きられないなど。睡眠は私たちの生活の中で多くの時間を担うだけに、時間的にも質としても満足できる状態を維持するのは難しいのかもしれません。
 「不眠」のパターンには、寝つきが悪いタイプとして「入眠障害」、夜中に目が覚めてしまうタイプとして「中途覚醒」、早朝に目が覚めてしまうタイプとして「早朝覚醒」、ぐっすり眠った気がしないタイプとして「熟眠障害」があります。
 「今日も眠れなかったらどうしよう」という焦りと不安でさらに悪循環になり、日中も疲れきっているという方は、「眠れない原因」を見つけて対策をしていきましょう。

 

 

自身の生活見直し解決の糸口を

   同じように「眠れない」という人でも原因は一人ひとり異なります。
 環境の変化やストレスなど一時的なものもあれば、加齢など体力や体の働きの変化に伴い徐々に起こるもの、慢性的なストレスや不規則な生活習慣などのように長期間続くものもあります。また、複数の要因が重なって起こるケースも多いのではないでしょうか。
 睡眠に影響する要因を精神的なものと身体的なものに分けた場合、忙しくあれこれ考えすぎて脳が興奮状態のままになっていたり、疲労やストレスによる自律神経の乱れなど、精神的な要因にはストレスが関わっていることが多いといえます。
 身体的な要因では、加齢に伴って体力が低下し熟睡できなくなったり、睡眠を維持できなくなったりするほか、夜間に何度もトイレに起きるなど機能的な問題もあります。また、痛み・痒みなどを伴った病気のため十分な睡眠が得られないことも挙げられます。
 さらに治療のために服用している薬の影響や、生活リズムが不規則だったり、アルコール・カフェインやタバコなどの影響、部屋の明るさや気温、騒音など環境的な問題が挙げられる場合もあります。

 自身の生活を見直し、なぜ、どのように「眠れないのか」を知ることが解決への糸口になるかもしれません。

 

 

漢方の理論で考える「不眠」

 そのひとつとして、漢方の理論から考えてみたいと思います。
 漢方でみる「不眠」とは、基本的に「気・血・水(き・けつ・すい)」のバランスの崩れによるとらえています。
 「気・血・水」は私たちのカラダを構成する要素で、この三要素が過不足なくカラダの中をスムーズに巡っている状態を「元気」(=心身ともに健康)であるといいます。
 不眠はおもに「気」の不調から起こることが多く、ストレスなどで「気」が滞ると、「血」や「水」のめぐりも滞り、不足したり過剰になったりしてバランスが乱れます。
 「気」とは、物体として視覚的にとらえられるものではありませんが、生きていくための生命エネルギーのことで、気力や意欲のほか「血」や「水」を巡らせて身体機能を維持する働きを担っています。
 疲労やストレスにより「気」のめぐりが悪くなると循環が滞り、体の中にこもった余分な熱が頭に昇って脳の疲れにつながり、思考もスムーズにいかず効率も低下します。
 不眠以外にも、のぼせ感や頭痛、イライラ、集中力の低下、感情の起伏が激しくなるなどの不調が起きることもあります。

 

 

陰の時間帯に休息して陽の時間に活動を

 

 身体面では、いわゆる自律神経の「休息」と「活動」のとらえ方として、漢方では「陰・陽」のバランスに当てはめて見ていきます。

 本来は睡眠をとるべき夜=「陰」の時間帯には、休息を優先してカラダや脳をゆっくり休め、昼=「陽」の時間に積極的に活動するように日内変動として設定されています。ところが夜間に活動したり、ついつい夜更かしが続いてバランスが崩れるとON/OFFの切り替えがうまくいかず、夜なのに頭が冴えてきたり、昼なのに眠気が続くなどの不具合につながると考えられます。
 漢方では「心身一如」という「心」と「身体」はひとつ、つまり心と身体はつながっているという考えを大切にしています。
 睡眠不足により疲れをため込んで「身体」が不調になると、「心」も栄養不足になってスッキリしません。精神的に不安定になることでさらに不眠を助長するという心身ともに悪循環となってしまいます。
 良質な睡眠のために、できることから始めてみましょう。
 就寝前は、心身がリラックスすることで、過度の緊張や興奮も和らぎ、気のめぐりもスムーズになることでしょう。
 入浴は、就寝直前に高温で激しく汗をかくような方法よりも、ややぬるめの温度で、適度に血行促進し心地よく温まる程度がおすすめです。
 自然な眠りのために、目からの情報や照明、室温、音、脳を休める工夫も効果的です。
 パソコンやスマホなども少し早めに切り上げてみるのもよいかもしれませんね。

※このページの内容は2023年8月18日現在のものです。

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