1. マガジン
  2. 暮らしアップデート
  3. 笑って育って - おてらおやつクラブ

MAGAZINE

 / 暮らしアップデート

笑って育って - おてらおやつクラブ

 「この日本で餓死で亡くなる人がいるとは」。数年前に大阪で母子が餓死した事件に衝撃を受け、何かできることはないかと動き始めたのは田原本町で江戸時代から続く安養寺の若き住職である松島靖朗さん(42)。その活動は全国に広がりを見せています。

 

ある所からない所に 物を動かすことで支援

 今、日本の子どもたちの7人に1人が貧困だと言われています。実感として身近に感じられない人も多いでしょうが、現実に母子が餓死するという事件が起こりました。その事件に衝撃を受けた松島さんが考えたのが、お寺にたくさん「ある」お供えを、社会の中の「ない」所に分かち合うことでした。

 お寺にはお供えを「おさがり」としていただくという風習があります。松島さんは自分自身がおさがりをいただいて育ててもらったという思いから、住職になり恩返しをしたいと考えました。

 そこで、協力してもらえるお寺を募り、特に困っている人が多いひとり親家庭を支援している団体を通じて、おさがりを届けるという仕組みを作りました。4年前に始まったこの「おてらおやつクラブ」は、現在登録しているお寺が約800寺院。支援を受ける団体は320団体以上と年々活動は広まっています。2017年夏にはNPO法人にも登録し、より行政との連携も取れるようになりました。

 

お寺に集まるお供えを「おさがり」としてひとり親家庭を支援する団体を通じて子どもたちに届けている。

 

顔が見えない支援 仏様に祈るのと同じ

 顔が見えないからこそできる支援もあります。身近な人には困っていることを知られたくないなど、周りに助けを求められないという人も「お寺なら何とかしてくれる」と頼ることのできる場となります。「どこかのお坊さんが自分たちのことを思ってくれている」という安心感は、僧侶が仏に祈るとき、目に見えない存在に対するということにも共通するものがあります。

 「子どもを支える私たちも、いつ支えられる側になるか分かりません。仏さまが救いの手を差し伸べられるように、救い合う世の中になれば」と松島さん。活動を始めて4年。多くの人が「世の中のために何かしたい」と手を差し伸べ、「世の中捨てたものじゃない」と感じたといいます。

 しかしまだまだ貧困を遠いものと感じている人が多いことも事実。「身近に貧困問題があることを知ってもらい、支援に結び付けば」と松島さんは支援を呼び掛けています。

 

■支援を受けたい場合の窓口

https://otera-oyatsu.club/parents/

 

■支援したいと思う場合

https://otera-oyatsu.club/donation/

 

【MEMO】

認定NPO法人おてらおやつクラブの詳細はこちら

https://otera-oyatsu.club/

※このページの内容は2018年4月6日現在のものです。 ※2018年の記事に窓口等の情報を加え、2022年1月5日に公開します。

関連記事


PR参加イベント:申込受付中


PRリビング通販:人気商品