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排尿障害を考える~女性編【1・過活動膀胱】~

 すぐに命にかかわるわけではありませんが、生活の質(QOL)に大きな影響を与える排尿障害。正式には下部尿路機能障害といいます。女性に多い排尿障害について、平尾病院の百瀬均名誉院長に聞きました。

 

平尾病院・百瀬均名誉院長

 

 

女性の泌尿器科の受診 男性に比べて低く

 

 排尿について症状のある人の医療機関への受診率が、男性は80代で50%の人が受診しているのに対し、女性は10%ほどにとどまっています。理由として排尿のことでの受診が恥ずかしく思われること。尿漏れなどは年を取ったためと、病気として認識されていないことがあります。

 さらに、男性は90%近くが泌尿器科を受診するのに対し、女性は40%あまりにとどまっています。これは泌尿器科に男性のイメージが強いこと。女性の排尿障害についてあまり研究が進んでおらず、良い治療法がなかったこともあるでしょう。今は研究も進み、効果的な治療法も増えています。

 排尿障害(下部尿路機能障害)は膀胱(ぼうこう)と尿道の働きが崩れることで起こります。膀胱と尿道の働きには、尿をためる蓄尿機能と、尿を出す排尿機能があります。

 女性の場合、子宮や膣などの生殖器も排尿障害に影響してきます。妊娠出産や更年期など女性特有の事情もあります。

 

 【蓄尿機能】

〇十分な量の尿を漏らすことなく膀胱にためることができる

〇尿意があっても排尿を我慢できる

〇激しい運動をしても尿がもれない

 

【排尿機能】

〇排尿をしようと思えば、いつでも排尿を開始できる

〇膀胱の中の尿をすべて勢いよく排尿することができる

 

成人15%~20%に症状 頻尿も伴う過活動膀胱

 

 膀胱の異常で生じる疾患の代表として、過活動膀胱があります。

 症状としては、突然生じる強い尿意(尿意切迫感)で、多くの場合頻尿を伴います。

 最近の研究では、膀胱の問題だけでなく心理的な影響もあるのではないかと考えられています。突然症状が出現するため不安で外出できなくなるなど、QOLをかなり妨げている症状です。

 多くの場合は原因不明です。そのため、治療の目標は症状の改善になります。現在は効果的なのみ薬も数種類、新しい治療法も開発されています。

 治療の前にできる行動療法としては、体重増加や水分の取りすぎに注意することや、膀胱訓練があります。

 膀胱訓練とは、尿意を我慢する練習を行うこと。自宅などで1日に数回、尿意を感じてもできるだけ我慢します。これを続けることで一度にためられる尿量が増えて、過活動膀胱の症状が改善するといわれています。

 過活動膀胱などのQOL疾患では重症度は患者さんの困窮度(困りぐあい)で決まります。尿意切迫感や排尿回数などで患者さん自身が困ると感じているならば、医療機関を受診してみてください。

 

★より詳細については、奈良新聞デジタル(会員サイト)で公開中。こちらより。

 

【協力】

平尾病院

橿原市兵部町6-28

Tel:0744・24・4700

※このページの内容は2022年4月15日現在のものです。

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