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明神池・池神社 (下北山村)不思議な伝説残る池に 役行者が開いた神社

 奈良県最南端にある下北山村は人気のキャンプ場もあり、週末にはキャンプや釣りをするため多くの人が訪れる村である。一方で、役行者が開いたという「大峯奥駈道」が村の西側を走り、世界遺産にも登録されている神秘的な土地でもある。


 キャンプ場から村役場に向かう途中に見かける池に不思議な伝説があると聞き、天気が良い日に立ち寄った。

 

朱色の
池にはたくさんの鯉の姿も

 明神池というこの池は奈良県で最も大きな天然池とのことである。役行者がこの池の霊気に打たれ開いたという池神社が池のほとりにある。下北山村地域振興課の栗山有佳さんに聞くと、近年本殿や鳥居が塗り替えられたとのことで、鮮やかな朱色が青空に映えていた。池自体がご神体とも言われ、池に向かっている社もある。おまいりをするときには両方におまいりするそうだ。

 

朱塗りの鳥居が青空に映える

 池の周りが遊歩道になっている。一周が約1km。時計回りに歩いてみた。左側にはゴルフ場があり、ネットの向こうではプレーしている人の姿もあった。ゴルフ場を離れ、池に沿って茂みに向かう。

 

池の周りが遊歩道に。途中からは茂みの中を歩く

 この池の不思議な伝説は7つあるという。その一つは「入る谷なし出る川なしなのに決して枯れず、水位がひとりでに上昇することがある」とのこと。確かに流れ出る川などは見られない。しかも、左側を見ると、池の湖面より遙か下に集落があった。池のほとりに「此の池、神池につき魚類の釣り、すくいどり等一切を禁じます」と書かれた看板もあったが、晴天の下、青く広がる水面を見ていると、とてもそんなことができる池ではないように感じる。ほかにも伝説は残り、実際、昭和の時代にも不思議な出来事が起こっているという。


 一周で約15分。ほかに稜線をめぐるコースもあり、こちらには展望台もあって大台ケ原の山々を望むこともできるそうだ。

 

村民のほとんどが氏子になっているという池神社。大切に祀られている

 池神社に戻ると、その奥には親子杉・夫婦杉がある。この地域に権力の支配が及ぶようになったのは豊臣秀吉のころ。豊臣秀吉が伏見城を築城する時に、このあたりの巨木が伐採されたという記録が残っているという。それまでは杉やヒノキがうっそうと茂り、昼間も暗い霊域だったそうだ。池神社の横の杉並木はわずかにその名残を残しており、一本の幹から大小二股に分かれた巨木を「親子杉」。肩を寄せ合う夫婦のように巨木が二本そびえた「夫婦杉」と命名して、村の文化財に指定、日本遺産にも認定されている。

 

右側が「親子杉」、左側が「夫婦杉」

 村人のほとんどが池神社の氏子であり、栗山さんによると行事の際には多くの人が集まり神社も池も大切に守っているとのことだ。


 今でも訪れるのにかなり時間も掛かるこの村に、白鳳時代の役行者や安土桃山時代の話が残ることも本当に神秘的に感じる。逆に人があまり立ち入らないからこそ、その神秘性が残っているのかもしれない。キャンプ場とは異なる下北山村の魅力を感じた。(久)

※このページの内容は2023年4月14日現在のものです。

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